非農業統計が急冷、バフェット始動:米国株安定回復の2つの重要シグナル

バフェットの選択が本質的に意味するのは、AI取引の後半戦では確実性が弾力性よりも価値があるということだ。

作者:BIT証券

先週金曜日、注目すべき重要な出来事が二つあった。この二つは、ここもと軟調な米国株市場にとって、底打ち反発を示す二つの大きなシグナルとなったかもしれない。

一つは非農業部門雇用統計というマクロ指標から、もう一つはバフェットのバークシャーから発せられたものだ。

一、シグナル1:非農業部門雇用者数が予想を大幅に下回る

まずマクロ面から見ていこう。米国の7月の非農業部門雇用者数は2.3万人減少した。これは2月以来初めての減少というだけでなく、さらに重要なのは、その落ち込みが予想をはるかに超えていたことだ。市場では当初、8万人の増加が見込まれていた。

予想の「+8万人」から実際は「-2.3万人」へ──この極端な逆転シグナルを受けて、市場の第一反応はパニックではなく、むしろ興奮だった。理屈は極めて明快で、雇用市場がはっきりと弱含めば、FRBが利下げに踏み切るハードルが大きく下がり、利下げ期待が急速に高まり、流動性相場が一気に回帰するというわけだ。

結局、米国株の主要3指数はそろって上昇して引けた。

二、シグナル2:バークシャーの現金準備が315億ドル減少

もう一つのシグナルは、バークシャーの第2四半期決算からもたらされた。

この決算で最も重要な数字は、利益ではなく、現金準備の変化だ。第1四半期、バークシャーの現金準備は過去最高の3,970億ドルに達していた。市場がずっと警戒していたのは、「バフェットがこれだけの現金を動かさずにため込んでいるのは、市場が割高すぎると見ているからではないか」「何かブラックスワン的な破綻が迫っているのではないか」という点だった。なにしろ、投資の神様が様子見を続けるのは、強気相場の始まりを示す良いサインとは到底言えない。バフェットは、常に勝てるとは限らないが、絶対に負けることはなく、どんな時でも相場で生き残ってきたことをとっくに証明しているのだ。

そして第2四半期には、現金準備は3,655億ドルまで減少した。わずか1四半期で315億ドルを費やしたことになる。

この数字が意味するのは、巨大な船のようなバークシャーが、ついに舵を切り始めたということだ。マーケットで最も慎重な資金さえも「現金保有」から「資金投入」へと動き出したこと自体が、市場のバリュエーションに対する極めて強力な裏付けの一つなのである。

さらに興味深いのは、その資金の行き先だ。この315億ドルのうち、およそ200億ドルが米グーグルの買い増しに投じられた。

三、メモリチップからアルファベットへ:AI取引のもう一つの考え方

このバフェットの選択は、我々が以前に述べてきた見方とちょうど符合する。

現在のAIテーマ取引の文脈において、メモリ関連株の問題はこれまでも分析してきた。つまり、業績よりも先に期待がピークに達し、バリュエーションがピーク時を先取りして織り込んでおり、いま飛びつけば山頂で掴まされる可能性が高い。では、より堅実なAI恩恵銘柄はないものだろうか。

バフェットは200億ドルという金額でその答えを示した。それがグーグルだ。

グーグルのロジックは、メモリ関連株とはまったく異なる。メモリ関連株が「需給ひっ迫」というサイクル的な利益を稼ぐのに対し、粗利益率はすでに80%の高水準に達しており、上昇の傾きは必然的に鈍化する。一方、グーグルが稼ぐのは「AIアプリケーションの現実化」というエコシステムの利益であり、クラウド事業、検索、大規模言語モデルの3本の柱で恩恵を受けている上、バリュエーションにはそこまで多くの期待が先食いされていない。バフェットの選択が本質的に物語っているのは、「AI取引の後半戦では、弾力性よりも確実性のほうが価値が高い」ということだ。

四、最後に

ただし、一つだけ念を押しておきたい。非農業部門雇用統計に後押しされた利下げ取引であれ、バフェットの「お墨付き」がもたらしたセンチメントの修復であれ、一本調子で進むわけではない。

利下げ期待は新たな経済指標が出るたびに揺れ動く。指標が弱ければ期待が強まって株が上がり、指標が強ければ期待がしぼんで株は下がる。この先、CPIや非農業部門雇用者数が発表されるたびに、市場は激しく変動しうる。同じように、「バフェットに追随してグーグルを買う」といっても、単なる猿真似ではいけない。バークシャーの建玉コストや保有期間は、個人投資家とはまったく桁が違うからだ。

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著者:BIT

本記事はPANews入駐コラムニストの見解であり、PANewsの立場を代表するものではなく、法的責任を負いません。

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