AI時代、自分のトークンをどう保管するか?

Ledgerハードウェアウォレットに人為的なチップ埋め込みが発見され、9000万U以上(約300ウォレット)が盗まれた事件を受けて、AI時代の資産管理方法を見直す記事です。著者は以前の「専用iPhone+ウォレットApp」説を撤回し、以下の対策を提案しています。

  • 多層防御とマルチシグ: 日常的に動かす資金には2-of-3マルチシグを採用(例:iPhone+Mac+バックアップ)。EVM系はSafe.global、BTC長期保管は専用MacBook+Bitcoin Core+専用ハードウェアを推奨。

  • AIでカスタム保管方案を設計: 資産状況やリスク許容度をAIに伝え、保管方案を提案させる。逆に「攻撃者視点」で脆弱性を指摘させる往復が有効。ただし、保管用端末にAIを入れないのが大前提。

  • AIでURL・アプリ検証: 新しいサイトやアプリはGemini、ChatGPT、Grok等に「これは正規か」と確認。無料版でも可、有料版は推論強度を最大に。

  • 署名前にAIでトランザクション解析: ウォレットの署名画面を写真でAIに読み取らせ、内容を解説させる(テストウォレットで練習)。本番では端末にAIを入れず、写真撮影で利用。Safeの表示は最終確認ではなく、MetaMaskの署名画面の内容を必ずAIで検証する。

  • AIでセキュリティ監視: Grok botにMetaMaskや慢霧などのXアカウントを監視させ、警告時にメール通知。重大送金前に確認するが、リンクはクリックせず公式サイトで検証。

著者はAIは最終的にセキュリティ向上に寄与すると結論付けています。

要約

著者:闪电HSL

ハードウェアウォレットでまた大事件が起きた。Ledgerウォレットの販売店が販売したハードウェアウォレットに、人為的にチップが埋め込まれ、コインを盗めるようになっていたのだ。ある人がXに投稿した(公式発表ではない点に注意)ところによると、Ledgerの画面の下に回路基板が隠されており、ニーモニックを書き写す際にそれを盗み取って外部に送信できるという。

現在、盗まれた金額は9000万Uを超えたとされ、300以上のウォレットが被害に遭っている。

かなり以前、私はハードウェアウォレットを好ましくないとする記事を書いたことがある。「専用のiPhone+ウォレットAppを使う方がハードウェアウォレットを使うより良い」というものだ。

当時は、専用のiPhoneを1台用意し、ウォレットAppを1つ入れれば、セキュリティは十分だと考えていた。

しかし今は、それでは不十分だと思う。AIが強力すぎる。攻撃者の手元にあるツールは増えた。フィッシングページはより本物らしくなり、偽のカスタマーサポートはより本物らしく話し、詐欺は一人ひとりに合わせて大量にカスタマイズできる。私たちには理解できない0day脆弱性も、AIによって脅威が増幅され、普通の人には到底考えつかないような攻撃が、AIによって増幅されている。

しかし、私たちもAIを使って防御を強化できる。

一、マルチシグを使い、鍵を異なるデバイス・異なるウォレットに分散する

まず、数年前に「1台のデバイスで十分」と言った私の見解を否定したい。今は、複数台のデバイスでマルチシグを組んでこそ安全だと思う。単一ポイントが突破されるリスクはやはり大きすぎる。たとえ毎日電源を切り、使うときだけ起動するとしてもだ。

頻繁に動かす必要のあるコインには、やはりマルチシグを使おう。デバイスをもう1台買い、秘密鍵をもういくつか管理すれば、安全性はその分増す。最低でも2-of-3にはすべきだ。

イーサリアムなどのEVM系にはsafe.globalがあり、非常に使いやすい。iPhone1台にウォレットAppを入れて1つ目の秘密鍵とし、Mac1台にChrome+拡張機能ウォレットを入れて2つ目の秘密鍵とし、3つ目の秘密鍵はiPhone上で生成してバックアップを取ったら削除する。

こうすれば、iPhoneとMacが同時にやられない限り、かなり安全になる。

ビットコインのような長年動かす必要のないものは、ウェブサイトにアクセスする必要も、DeFiをやる必要もなく、唯一の用途は取引所への入出金だ。複数デバイスでのマルチシグは不要だと思う。

この方法はすでに十分安全だと感じている。Bitcoin Coreノードウォレットを使い、専用のMacBookを1台買ってBitcoin Coreをインストールし、さらに2TBのハードディスクを追加してブロックデータをダウンロードする。ビットコインはあまりにシンプルで攻撃ポイントが小さいため、リスクはかなり低く抑えられる。

BTCにもマルチシグウォレットはあるが、ブランド力が足りない気がするし、ビットコインスクリプトにネイティブで備わっているマルチシグ方式は技術的なハードルが高すぎて、下手をすると自分のコインがマイナー手数料にされてしまうかもしれない。

重要なのは専用機を専用に使うことだ。日常使いのスマホやパソコンでコインを管理してはいけない。特にAIをインストールしてはいけない。

以下では、AIがコイン管理でどのように役立つかについて、私の考えを共有したい。

二、AIに保管スキームを考えてもらう

投資は個別化されたものだが、コインの保管スキームも実は個別化されたものだ。私は以前、苦労して自分でウォレットを管理するスキームをたくさん書いてきたが、AIが登場した今、そうした具体的なスキームは本当に価値がなくなったと感じる。

保管スキームはもう他の記事を探す必要はなく、直接AIと話せばいい。

自分の状況をAIに明確に伝えよう。資産を何層に分けるか、どれが頻繁に使うもので、どれが数年動かさないものか。どれくらいの頻度で動かすか。どのチェーンを使うか。どの程度複雑な操作まで受け入れられるか。万一自分に何かあったとき、家族がどう引き継ぐか。

スキームを出してもらう。それから役割を変えて、このお金を盗もうとする人物を演じさせ、どの段階から手を付けるのが最も簡単かを教えてもらう。修正したらまた攻撃させる。これを何ラウンドか繰り返す。

私たちはAIを信頼しすぎて、パソコンを完全にAIに委ねてしまうことがある。だから、コインを保管するパソコンやスマホには、絶対にAIをインストールしてはいけない。この点は本当に特に注意が必要だ。AIは強力すぎるし、私たちは弱すぎる。

それから、AIに自分がコインを保有していることを知られても安全なのか?

私の見解は、ハードウェアウォレットを買うときに販売店に知られるよりは、ずっと安全だということだ。販売店はあなたの氏名、電話番号、住所を知っており、あなたの秘密鍵が生まれたそのデバイスにも関わっている。注文した瞬間、これらは避けられない。

実は、最大の安全は、誰もあなたがコインを保有していることを知らないことだ。しかし今日、それは不可能になった。取引所は知っているし、デバイスを売る店も知っているし、チェーン上のアドレスは誰でも見られる。選べるのはただ、「誰が知るか、どれだけ知るか」だけだ。AIを信じる方が、特定の個人を信じるよりはましだ。

三、AIにURLとAppの出所を調べてもらう

コインを扱うには、どうしてもさまざまなウェブサイトが欠かせない。特にDeFiをやるなら、アクセスしなければならないサイトが山ほどある。

私の以前のルールは、どんなウェブサイトでも、3つの異なる情報源からドメインが正しいか検証するというものだった。よく使う情報源としては、ethereum.org/bitcoin.orgのような公式サイトやCMCに収録されているか、Googleで調べたか、x.comで調べたか、本当に信頼できる友人に聞いたか、などだ。

今はいい時代になった。AIがいる。AIに聞いたか?

ドメインの検証などは、AIが非常に得意とする分野だ。しかも無料のもの、Gemini、ChatGPT、Grok、豆包にそれぞれ1回ずつ聞いてみる。これは重要な検証手段の1つになり得る。できれば有料版を使い、推論の強度を最大まで上げて聞くのがよい。

Appも同じだ。ウォレットAppをダウンロードする前に、App StoreのページのスクリーンショットをAIに送れば、AIがはっきりと検証してくれる。Chromeの拡張機能ウォレットも同様にAIにチェックさせよう。

AIへの具体的な聞き方も驚くほど簡単だ。「これは正規のものか」と聞けばいい。私は今、新しいドメインをクリックするときも、新しいAppをダウンロードするときも、必ずAIに一度聞く。「これは正規のものか」と。

四、署名する前に、写真を撮ってAIに読ませる

これは今回私が最も共有したいポイントだ。

実は今、送金、承認、主要コントラクトとのやり取りなど、ほとんどの一般的な取引では、MetaMaskが署名画面で取引の具体的な意味を表示してくれる。署名する前にしっかり読めば、今回の署名の前後でウォレットにどんな変化が起きるか理解できる。

to、value、data、nonceといったフィールドは、今のウォレットは非常によく説明してくれる。

数年前はこんなに恵まれていなかった。当時のウォレット画面は、署名という1つの操作画面で見えるのは、00、fff、1234といった乱雑な文字列の羅列ばかりだった。

当時、4byte.directoryというサイトがあり、私はよくそこへ取引の署名内容を貼り付けて、取引で何が起きるのかを確認していた。

もし今でも「取引署名」とは何かがよく分からず、こうした署名内容が読めず、取引に不安があるなら、今はAIがいる。AIがその読み方を教えてくれる。

署名前にウォレットがポップアップする画面を、写真に撮るかスクリーンショットしてAIに読ませよう。安心してほしい。この画面には秘密鍵もニーモニックもない。この画面の内容は、あなたが確認をクリックした後、ネットワーク全体に公開されるものだ。AIの解読は、署名後に取引で何が起きるかを明確に教えてくれる。フィッシングに引っかかっているかどうかが分かるのだ。

テスト用ウォレットを1つ用意し、操作の各ステップの画面をAIに完全に解読してもらうのは、本当に大きなメリットがあると思う。ただし、実際の本番環境でAIに自分のスクリーンショットをすべて読ませてはいけない。私が言っているのはテスト用ウォレットだけだ。まずAIを使って、ウォレットの各種操作の具体的な意味を読めるようになろう。

実際の本番環境では、ウォレットがあるスマホやパソコンにAIをインストールしてはいけない。どうしてもAIに取引の署名内容を解読させたいなら、写真を撮る方式を使おう。

Safeウォレットを使う場合、Safeウォレット自体が取引内容をかなり説明してくれるが、MetaMaskの署名段階になると、取引情報がまた分かりにくくなる。不安なら、00、fffなどといった内容をAIに送って解読してもらえばいい。解読すれば、署名後に取引で何が起きるかが分かる。

Safeを使うとき、Safeウォレット自体の取引の説明は最終的なものではない。MetaMaskの署名画面の説明こそが最終的なものだ。Bybitのあの盗難事件は、Safeの説明ページが改ざんされていた。だから必ずMetaMaskのポップアップに表示される取引フィールドの説明を基準にしなければならない。

五、AIにセキュリティ警告を監視させる

AIが登場してできるようになったことがもう1つある。自分が関心を持つハードウェア、ソフトウェア、コントラクト、プラットフォームに脆弱性報告やセキュリティ公告がないか、AIに監視させることだ。

今、Grok botはx.comを完璧に監視できる。自分が関心を持つx.comのアカウントをGrok botに監視させよう。MetaMask、慢雾(SlowMist)、Lido……といったXアカウントのグループをGrok botに渡し、セキュリティ関連の投稿をしていないか監視させ、あればメールを送ってもらう。

また、本当に警告を受け取ったら、自分で公式チャネルで確認しよう。メールや投稿内のリンクはクリックしないこと。フィッシングに注意しよう。もちろん、AIを1つ派遣して確認させるのもありだ。

大きな資金移動をするときは、まずこのメールボックスを読もう。

結び

私は、AIは最終的に善に向かい、私たちのネットワーク環境をより安全にしてくれると思う。

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著者:闪电HSL

本記事はPANews入駐コラムニストの見解であり、PANewsの立場を代表するものではなく、法的責任を負いません。

記事及び見解は投資助言を構成しません

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