Citrini 79ページ報告書:エージェント型金融が暗号資産を再構築、主要通貨は取り残されるのか?

ベラック(BlackRock)は暗号資産の「ゲートが開いた」と宣言する一方、Citrini Researchは主要通貨から撤退し、DeFiプロトコルやインフラ関連株式へのシフトを提案している。2026年、AI取引が市場を主導する中、ビットコインは7月の6万ドル未満から8万ドル超へ反発した。

智能体金融(エージェント金融)がブロックチェーン上に構築される

Citrini Researchの79ページに及ぶ報告書『Breaking the Wall』は、AIエージェントと暗号資産化されたトークン資産が暗号資産のファンダメンタル投資に新たなパラダイムをもたらすと主張する。ブロックチェーン業界は15年かけて、エージェントの世界で予想外に有用なもの、すなわち年中無休でプログラム可能な金融インフラを構築してきた。AIエージェントはプログラム的に24時間体制でアプリ間を移動し、資金や金融資産も同様に動くことになる。

主要通貨からDeFiとインフラ株へ資金シフト

報告書は、ビットコイン、イーサリアム、XRPなどの資産から、手数料を生み出すDeFiプロトコルとインフラ関連上場企業の株式への資金移動を提案する。具体的には、Derive、Lighter、ether.fiに高いウェイトを置き、Securitize(RWAトークン化企業)、Circle(ステーブルコイン発行者)、Coinbase(取引所)などの株式を組み入れる。主要通貨が史上最高値を更新したとしても、より良い投資対象が存在すると指摘する。

過去1年のパフォーマンス

過去1年間でDeriveは1300%上昇し、リスト上の他のトークンの多くは2桁の上昇を記録した一方、ビットコイン、イーサリアム、XRPは取り残された。

Citrini原文報告の補足見解

  • エージェント型銀行取り付けの系統的リスク:数百万のAIエージェントが最高金利の機関へ資金を移動し続けた場合、伝統的銀行の資金調達コストと流動性に持続的圧力がかかる可能性がある。エージェントはブランド忠誠心や感情的要素を持たず、最適な収益のみを追求するためだ。

  • インターネットプロトコル類似:ブロックチェーンはエージェントが直接呼び出すバックエンドのプログラム可能金融インフラとなり、一般ユーザーはその技術を理解する必要がなくなる可能性が高い。

  • チェーン上のエコシステム成熟:著者の個人実験では、チェーン上にはミームコインを超えた成熟した金融アプリのエコシステムが形成されており、トークン化された国債、株式、オプション、貸付、決済、利回りプロトコルなどが存在する。

  • 投資の核心的問いの転換:「トークン化は合法か」から「米国の規制市場に参入した際、誰が経済的価値を捕捉するか」への移行が重要である。取引、貸付、決済、利回り生成、清算から持続的に手数料を生むプロトコルが市場で報われる。

  • ポートフォリオ構成:暗号バスケット(15トークン)はビットコインとイーサリアムを完全に除外し、デリバティブ関連約39%、利回り/ステーキング約27%、ブルーチップインフラ約26%を配分。株式バスケットはMicroStrategyや鉱業株を含まず、インフラとトークン化関連企業を中心とする。

  • 「Hyperliquid瞬間」と拐点の意義:イラン紛争中の週末、チェーン上の取引所が最も正確な原油価格を提供した「Hyperliquid瞬間」以降、RWA採用が加速。トークン化株式の構成可能性(コンポーザビリティ)が進展し、実験段階から実用的金融ツールへ移行している。

  • リスクと非全面強気の明示:報告書は全ての暗号資産に強気なわけではない。チェーン上の活動増加やトークン化規模の拡大が自動的に全トークン価格を押し上げるわけではなく、経済的価値を捉えられる部分に焦点を当てるべきだと指摘する。

要約

執筆:Billy Bambrough、Forbes

翻訳:AididiaoJP、Foresight News

編注:Citrini Researchのアナリストは2026年10月8日、Breaking The Wall: Has Blockchain Finally Reached Its Moment?と題する79ページの調査報告書を発表した。Forbes(フォーブス)はその後、この報告書に基づいてブリーフィングを執筆した。本稿はフォーブスのブリーフィングを基に翻訳し、さらに報告書原文の一部の見解を補足している。

ブラックロックは暗号資産の「ゲート」が開かれたと述べる一方、Citrini Researchは主要通貨からの撤退と、DeFiプロトコルおよびインフラ株へのシフトを提言している。

2026年、AI取引が引き続き市場を支配し、ビットコインと暗号資産全体は圧力を受けている。ただし、ビットコイン価格は7月の6万ドル未満から8万ドル超へと反発した。同時に、ブラックロックはビットコインと暗号資産の「ゲート」が突如開かれたことを明らかにした。ウォール街で最も恐れられ、最も影響力のある機関の一つは、暗号資産市場が「転換点」にあると述べている。しかし、この転換点はビットコイン、イーサリアム、XRPを除外するかもしれない。とはいえ、大規模な暴落がビットコイン価格のゲームチェンジャーとなる可能性もある。

ウォール街の報告書:エージェント型金融はブロックチェーン上に構築される

Citrini Researchのアナリストは、『Breaking the Wall』と題する79ページの報告書で、AIエージェントと暗号資産ベースのトークン化資産が、暗号資産ファンダメンタルズ投資の新たなパラダイムを切り開いていると提起している。彼らは、間もなく到来するエージェント型金融の波はブロックチェーン上に構築されると考えている。同機関は今年初め、2028年の世界的な知能危機を警告して株式市場を揺るがしたことがある。

報告書は次のように記している。ブロックチェーン業界は15年をかけて、エージェントの世界で思いがけず有用なものを構築してきた。すなわち、24時間365日稼働し、プログラム可能な金融インフラであり、資産・所有権・決済がすでに融合した世界の中で共存できるようにするものだ。AIエージェントはプログラム的に24時間365日、アプリケーションを横断して稼働し、資金と金融資産も最終的にはそうなる。このことは再び人々を暗号資産業界へと引き戻す。過去10年の大半、暗号資産業界は「解決策が先にあり、問題を後から探す」業界のように見えていた。

主要通貨だけに注目するな:資金はDeFiとインフラ株へシフトする可能性

エージェント型金融に賭けるため、報告書はビットコイン、イーサリアム、XRPなどの資産から、手数料を生み出すDeFiプロトコル、およびインフラに焦点を当てた上場企業の株式へ資金を移すことを提言している。報告書は、金融資産はトークン化されてオンチェーン化されつつあり、伝統的金融と暗号資産の世界は融合しつつあると記す。同時に、エージェントはブロックチェーンエクスプローラーの劣悪なユーザー体験を気にしない、新たな種類のユーザーをもたらしている。

Citriniが提示するポートフォリオでは、Derive、Lighter、ether.fiのウェイトが最も高く、同時に現実世界資産のトークン化企業Securitize、ステーブルコイン発行元Circle、ビットコイン・暗号資産取引所Coinbaseを含む株式バスケットを組み入れている。著者は率直に、主要通貨——特にビットコインとイーサリアム——がこのテーマで史上最高値を更新すると想定することはできないと述べる。たとえ更新したとしても、より優れた賭け先が存在する。

ポートフォリオの残りには、時価総額は小さいが知名度の高いトークンが含まれる。イーサリアムの競合であるSolana、HyperliquidのHYPE、流動性プロトコルAave、合成ドルプロトコルEthenaなどだ。Aerodrome、Maple、Pendle、Ondo Financeなどのプラットフォームに関連する知名度の低いトークンもリストに含まれている。

過去1年、何が上昇を主導したか

価格パフォーマンスもこの判断を裏付けている。過去1年、Deriveは1300%急騰し、リスト上の他のトークンの大半は2桁の上昇を記録した一方、ビットコイン、イーサリアム、XRPは取り残された。

研究者らはまた、テクノロジー・金融・暗号資産の規制環境の改善、およびイランの石油危機が、Hyperliquidの原油価格に連動する24時間365日のデリバティブ取引の急速な立ち上がりを後押ししたと指摘している。報告書の著者は、それ以来、現実世界資産(RWA)の採用が明確に加速しており、過去1カ月で暗号資産分野に大規模な変動が現れ始めたと記す。これは転換点を示すものと思われる。

Citrini原文報告書の補足見解

エージェント型銀行取り付け(Agentic Bank Run)のシステムリスク

報告書は冒頭で、ある「不安にさせる」シナリオ推論を提起している。数百万のAIエージェントが継続的かつプログラム的に、遊休資金を最も高い金利を提供する機関やプロトコルへ移し続けたら何が起こるのか。伝統的銀行が依存する低コストの預金資金源は、それによって継続的に吸い上げられるのか。「エージェント型銀行取り付け」は起こるのか。

伝統的金融システムは人間のユーザー向けに設計されている。人間にはブランドへの忠誠心、慣性、操作上の摩擦、感情的要因がある。一方、エージェントはこれらを気にせず、最適なリターンだけを追求し、24時間365日、機関を横断して、極めて低コストで実行できる。報告書は、この行動が大規模化すれば、銀行の資金コストと流動性に持続的な圧力を与える可能性があり、現在のシステムにはこれに対応する設計が欠けていると指摘する。これは短期的な取引助言ではなく、エージェント型金融の長期的影響に関するマクロレベルの警告である。

インターネットプロトコルの類推:ブロックチェーンは「バックエンドインフラ」になり得る

報告書はインターネットの発展を類推に用いている。ほとんどの人はHTTPS、TCP、IPが具体的にどのように機能するかを知らないが、毎日無意識のうちに使用している。著者は、ブロックチェーンも将来同様の道をたどる可能性があると考える。すなわち、エージェントが直接呼び出すバックエンドのプログラム可能な金融インフラとなり、一般ユーザーは基盤技術を理解する必要すらなくなる。

ブロックチェーン業界は約15年をかけて、「常時オンラインで、プログラム可能で、資産・所有権・決済が共存できる」システムを構築してきた。エージェント時代において、この特性は高い関連性を持つようになる。エージェントは24時間365日の稼働、アプリケーションを横断した資金・資産の移動を必要とし、伝統的金融の営業時間や複雑な手作業プロセスによる制約を受けない。報告書は、これこそブロックチェーンが真に「存在理由」を見出した重要な瞬間だと考える。

著者個人のオンチェーン実験とエコシステム成熟度の観察

報告書の著者は、自身がCoinbase Walletに1000ドルを投入したところ、当初は典型的な「カモにされる」状況や高度に投機的な環境を予想していたが、実際にはオンチェーン上にミームコインをはるかに超える成熟した金融アプリケーションのエコシステムが形成されていることを発見したと述べている。これにはトークン化国債、株式、オプション、プログラム可能な債務、貸付、決済、利回りプロトコルなどが含まれ、全体の形態は既存の伝統的金融(TradFi)にますます近づいている。

この観察は報告書の核心的な判断を支えている。オンチェーン金融アプリケーションは静かに発展しており、エージェントユーザーが到来した際、その可用性はさらに増幅される可能性がある。なぜなら、エージェントは劣悪なユーザー体験を気にしないからだ。

投資の核心的問いの転換:「合法かどうか」から「誰が価値を獲得するか」へ

報告書は投資家の関心を「トークン化は合法か?米国市場に参入できるか?」から、より本質的な問いへと明確に転換している。「これらの商品が最終的に米国の規制市場に参入したとき、誰が経済的価値を獲得できるのか?」

重点は資産がオンチェーン化されるかどうかではなく、誰が取引、貸付、決済、利回り生成、清算から継続的に手数料を徴収できるかにある。報告書は、市場は最終的に、単に主要通貨を保有するのではなく、真の収益を生み出すプロトコルとインフラに報いると考える。これも、ビットコインとイーサリアムがこのテーマで史上最高値を更新すると想定しない主要な論理の一つである。

公開されたポートフォリオのウェイトと構造的特徴

報告書が開示する暗号資産バスケット(15トークン)はビットコインとイーサリアムを完全に除外し、新興デリバティブおよび利回り関連プロトコルに高いウェイトを与えている。例えば、Derive、Lighter、ether.fiはそれぞれ約10%、AaveとEthenaはそれぞれ約9%などだ。デリバティブ関連銘柄の合計は比較的高く(約39%)、利回り・ステーキング系は約27%、ブルーチップインフラは約26%を占める。

株式バスケットはインフラおよびトークン化関連企業を中心とし(Securitizeのウェイトが高く、CircleとCoinbaseがそれに続く)、MicroStrategyやマイニング株は含まれていない。この構造は、報告書の「市場ベータではなく価値獲得の段階に焦点を当てる」という考え方を反映している。

「Hyperliquidモーメント」とトークン化資産のコンポーザビリティの転換点的意義

報告書は特に、イラン紛争中の週末に、オンチェーン取引所が最も正確な原油価格を提供できる数少ない流動性のある場所の一つとなったことを挙げ、これを「Hyperliquidモーメント」と呼んでいる。その後、現実世界資産(RWA)の採用は明確に加速した。

同時に、トークン化株式はコンポーザブル(composable)になり、発行元の単一の場所に限定されず、異なるアプリケーションやチェーン間を移動できるようになった(Robinhood Chainなどがこのプロセスを率先して推進した)。報告書は、これらの進展が合わさって真の転換点を示し、オンチェーン資産を実験段階にとどまるものではなく、実用的な金融ツールに近づけていると考える。

リスクと全面的強気ではないことの明確な提示

報告書はすべての暗号資産に対して全面的に強気というわけではない。オンチェーン活動やトークン化規模の拡大が、すべてのトークン価格を自動的に押し上げるわけではないと明確に指摘している。投資家は真に経済的価値を獲得できる段階に焦点を当てるべきだ。報告書は同時に、エージェント型金融とトークン化は長期的な構造的トレンドであるが、価格への波及には時間がかかり、執行、規制、競争などの不確実性が存在すると強調している。

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著者:Forbes

本記事はPANews入駐コラムニストの見解であり、PANewsの立場を代表するものではなく、法的責任を負いません。

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