執筆:The DeFi Edge
翻訳:Luffy、Foresight News
ビットコインはすでに2カ月にわたって横ばいのレンジ相場が続いているが、多くのDeFiトークンは市場全体とともに停滞しているわけではない。
8月にビットコインが21%急騰した後、ボックス圏のレンジ相場に入った。8月22日以降、ビットコインの日次終値は一貫して75,600〜86,600ドルの間を行き来している。この期間、ビットコイン全体の上昇率は5.6%だった一方、イーサリアムは逆に2.7%下落した。
私たちが集計した、トークン保有者に配当を行う主要DeFiトークン19銘柄のうち、14銘柄がビットコインをアウトパフォームした。そのうちRaydiumは178%上昇した。これらトークン全体の中央値上昇率は12.9%に達し、ビットコインの上昇率の2倍以上となった。
なぜ「保有者に分配される実質的な収益」に注目すべきなのか?
プロトコルの総収益だけを見ると誤解を招く。収益を多く上げていても、トークン保有者に一切分配せず、最終的にチームが収益を持ち去ってしまうプロトコルもある。
そこで本稿では「保有者に分配される実質的な収益」を集計する。これにはトークンの買い戻し・バーン、手数料のバーン、保有者への直接的な収益分配が含まれ、この集計基準はDeFiLlamaによるものだ。
対象に選ばれるには、トークンは以下の条件を満たす必要がある。
- 中核的なDeFiプロジェクトのみを集計対象とする:DEX、無期限先物、レンディング、担保付き債務ポジション、リキッドステーキング、イールドツール、イールドアグリゲーター。パブリックチェーン、オラクル、Launchpadは集計対象外とする(Ponsなどを含む)。
- 8月22日時点で時価総額が1億ドルを超えていること。
- 過去1年間に、トークン保有者への収益分配の実績があること。
選定条件を満たすものはすべて集計対象に含めた。RaydiumがLaunchpad事業で稼いだ資金をトークンの買い戻しに充てるケースや、Hyperliquidが手数料を直接バーンするケースは、いずれも保有者への実質的な収益として扱う。
集計期間は8月22日〜10月20日で、それ以前の59日間のデータと比較した。価格はCoinGeckoを出典とし、最終的に19銘柄を選出した。
表の「時価総額/保有者年換算収益」とは、現在の収益水準に基づき、総時価総額を1年間に保有者へ分配される全収益で割った値を指す。数値が低いほど、投資家が1ドルの配当を得るために支払うコストが低いことを意味する。
どのトークンのパフォーマンスが最も良かったか?
トークンを2つのグループに分けて比較した。配当が増加したグループのトークン中央値上昇率は18.3%、もう一方のグループはわずか6.9%だった。
上位3銘柄には、いずれも明確な収益成長のロジックがある。
- Raydium:9月5日、トークン化株式発行プラットフォームのStonkFunがRaydiumのLaunchLabに接続した。RAYトークンの買い戻し規模は7月の36万ドルから9月の394万ドルへと急拡大し、11倍になった。
- Uniswap:手数料配当の仕組みはすでに始動しており、さらにRobinhood Chainが大量の取引をもたらしたことで、9月のUniswapのプロトコル収入のほぼ半分がこのパブリックチェーンによるものとなった。
- Aerodrome(AERO):AerodromeとVelodromeの合併後、トークン保有者は取引手数料に加え、各プロジェクトが流動性を購入するために支払う費用も受け取れるようになった。9月のこの部分の収入は1,490万ドルに達し、流動性プロバイダーに支払われた1,050万ドルをすでに上回った。
逆もまた然りで、edgeXは保有者に分配される実質的な収益が15%減少し、トークン価格は22%急落して、サンプルの中で最もパフォーマンスの悪いプロジェクトとなった。
バリュエーションが低いことは良い機会を意味するのか?今回のデータは異なる答えを示しており、結果は非常に意外なものだった。AEROのバリュエーション倍率は最低の8.7倍で、トークン価格は77%急騰した。一方、edgeXのバリュエーションは15倍でサンプル中2番目に低かったが、値動きは最下位だった。バリュエーションの高低だけを見ても、トークンのその後の騰落を予測することはまったくできない。
上記の法則に当てはまらないトークンもいくつかある。
- Hyperliquid(HYPE):保有者に分配される収益は79%急増したが、トークン価格はわずか6%の上昇にとどまった。完全希薄化後評価額(FDV)で計算したバリュエーションは85倍にも達する。毎月約8億ドル相当のHYPEがアンロックされて市場に流出する一方、毎月の買い戻し額はわずか7,500万ドルで、市場は巨大な売り圧力を吸収する必要がある。
- Sky(SKY):8月13日のガバナンス投票で、各期の収益の55%をトークンの買い戻しに、45%をステーキングユーザーへの分配に充てることが決まった。保有者の収益はほぼ4倍になったが、トークン価格はわずか11%の上昇にとどまった。
- Aave(AAVE):rsETHのセキュリティインシデント後、Aaveはトークンの買い戻しを一時停止し、集計期間中はユーザーへの配当を一切行わなかったが、トークン価格はそれでも24%上昇した。
私の考えでは、市場の価格形成は現在の配当水準と将来の収益期待の両方を見ている。配当期待はトークン価格に影響を与えるすべての要因ではない。
ビットコインが再び横ばい相場に入ったら、DeFiトークンをどう選ぶべきか?
プロジェクトを調査する際は、以下の3点を同時に見る必要があり、どれも欠かせない。
- プロジェクトが実際に保有者へ分配している収益が、すでに上向いていること。
- 実際の好材料となるドライバーがあること:新規事業の開始、手数料配当の開始による取引量の増加、プロトコル合併といったイベントなど。
- 必ずトークンのアンロックとFDV(完全希薄化後評価額)を確認すること。Hyperliquidはその前例であり、大量のトークンがアンロックされて市場に投げ売りされると、トークン価格の上昇が抑え込まれる。
いくつかの補足説明
- 今回はわずか19銘柄のサンプルで、集計期間は59日間であり、結論に絶対的な説得力はない。あと1カ月分のデータがあれば、中位のトークンの順位は大きく書き換わる可能性が高い。
- トークン価格と配当収益は同じ2カ月間の区間で集計している。この手法はあくまで観察指標であり、8月22日時点でこのルールによって上昇する通貨を正確に選び出せたことを意味するものではない。
- 本文中のバリュエーション倍率は流通時価総額で計算している。多くのプロジェクトには大量のロックアップされたトークンが存在し、バリュエーションが実際よりも割安に見えることがある。Hyperliquidは流通時価総額ベースではバリュエーション19.6倍(流通時価総額181億ドル)だが、FDVベースでは85倍(FDV778億ドル)にも達する。
- 保有者収益のデータはDeFiLlamaによるもので、データは100%正確とは言えないが、業界で最も質の高いデータソースである。
- 一部のプロジェクトは配当を一括で支払っている。例えばLidoの買い戻しはDAO投票を経て一括で実行されるため、ある月の収益が低くても、プロジェクトが配当を停止したことを意味しない。
- Meteoraは2グループの上昇率比較に参加していない。このプロジェクトの配当機能は開始されたばかりで、比較するための過去データがないためだ。
- THORChainの保有者収益は手数料によるRUNEトークンのバーンによるものだが、9月12日にバーン比率が5%から1%に引き下げられた。そのトークン価格の変動は配当増加のロジックとは無関係である。
- 異常値サンプルの補足データ。Hyperliquidはこの59日間で合計1億4,690万ドルの収益を保有者に分配し、全サンプルの総収益の59%を占めた。チームは毎月約990万枚のHYPEをアンロックしている。Skyのバリュエーション倍率は98倍から28.5倍へ低下した。



