CZ:AI時代、「歯車」思考を捨て、起業の黄金期を迎え入れよ

  • PIVOTは10月24日、Binance創業者のCZ(趙長鵬)へのインタビューを放送した。CZは、東京で東京証券取引所向けの注文ルーティング・マッチングシステムを開発した経験が、後のBinanceの取引基盤につながったと説明した。また、2017年に中国の規制強化を受けてチームを東京へ移し、影響を受けたユーザーに600万ドル(当時の準備資金の40%)を補償したと語った。

  • 日本の暗号資産税制については、最高55%の課税から株式と同様の20%前後の分離課税へ見直す計画を評価し、安定コインと現実資産のトークン化(RWA)が各国の金融競争の焦点になるとの見方を示した。なお、これらはインタビューでのCZの発言・見解である。

  • CZは、2023年から2024年にかけて米国の銀行秘密法違反をめぐり有罪答弁し、BinanceのCEOを退任して4カ月服役した経緯にも言及した。詐欺や資金流用ではなく、米国での登録やマネーロンダリング対策に関するコンプライアンス上の問題だったと説明し、退任によって教育事業に注力できるようになったと語った。

  • 現在注力する無料教育プラットフォーム「Giggle Academy」について、AIとゲーム要素を活用し、開発チーム約50人に年間約500万ドルを投じていると説明した。記事によると、登録学生は2026年初めの約10万人から、現在は200万人超に増えたという。将来は、教育を受けた人々が任意で収入の一部を還元する持続的な仕組みも構想している。

  • AIエージェントが大量の小口決済を行う将来には、銀行口座やクレジットカードよりも、許可不要で機械間決済に適した暗号資産が必要になるとCZは主張した。AIと暗号資産の本格的な融合は5年以内に進むとの見通しを示し、若者には終身雇用に依存せず、AIやブロックチェーンを活用した起業に挑戦するよう呼びかけた。

要約

整理・翻訳:深潮 TechFlow

深潮(TechFlow)の解説: 日本の著名なビジネス・金融メディアPIVOTの世界独占インタビューで、Binance創業者の趙長鵬(CZ)がPIVOTチーフ・グローバル・エディターの竹下隆一郎氏と長時間の深掘り対談を行った。世界最大の暗号資産取引プラットフォームを率いる象徴的存在として、CZはBinance初期と日本の深い縁を初めて体系的に振り返り、2023年から2024年にかけて規制の嵐を経験し、CEOを退任し、さらに4カ月の服役を経た後の率直な心境を語った。そして、世界の教育格差を解消することを目指す無料プラットフォームGiggle Academyという、彼が全力を注ぐライフワークについても余すところなく明かした。

未来の技術トレンドに触れると、CZは断固としてこう指摘した。AIの規模拡大には、ブロックチェーンとCrypto-Nativeなデジタル通貨への絶対的な需要が必然的に伴う。将来、数十億の自律協働AIエージェントは従来の銀行システムに依拠して微額決済を完了することはできず、暗号資産こそがマシン経済時代の唯一のネイティブな血液だ。世界経済と技術の転換点に直面するなか、彼は新世代の若者に鋭く訴えかけた。伝統的な終身雇用という凡庸な枠組みを打ち破り、不確実性に正面から向き合い、思い切って起業の場に飛び込み、この時代に属する無限の機会を迎え入れよ、と。

ゲスト: 趙長鵬 / CZ(Binance創業者、Giggle Academy発起人)

司会: 竹下隆一郎(PIVOT チーフ・グローバル・エディター)

放送日: 2026年10月24日

要点まとめ

  • Binanceのマッチングエンジンに宿る日本由来のDNA: CZが大学卒業後に就いた最初のソフトウェアエンジニア職は、東京で東京証券取引所(TSE)向けの注文ルーティングとマッチングシステムを開発する仕事だった。C++で低レイヤのメモリ割り当てとポインタを手動管理した極限のギーク体験は、多年後にBinanceが毎秒100万件級の取引を支える高性能アーキテクチャを築くための確固たる基盤となった。
  • 危機対応とトレジャリーの4割を投じた全額補償: 2017年、Binanceチームは中国国内の規制政策の調整により東京へ拠点を移し、わずか5カ月で世界一に上り詰めた。業界の激変がもたらしたユーザーの不安に直面し、Binanceは法的責任を負う必要がないにもかかわらず、自ら600万ドル(当時のプラットフォーム総準備金の40%)を拠出して影響を受けたユーザーに全額補償し、これにより揺るぎないユーザー信頼という堀を築いた。
  • 税制緩和とあらゆる資産のトークン化(RWA)の波: 日本は暗号資産の収益税率を最高55%から20%に引き下げ、従来の株式と同様に扱う計画で、国内市場の流動性を強く活性化させる。CZは、主権国家の将来の金融競争はステーブルコインにとどまらず、あらゆる資産のトークン化(国債、株式、不動産、さらには国境を越える水資源などの自然資産を含む)にあると指摘する。これにより世界の資金の高速流通経路が再構築される。
  • コンプライアンスの代償を率直に受け止め、退任が人生の贈り物に: 銀行秘密法違反1件により米国で4カ月服役したCZは、事件に詐欺は一切なく、被害者もいないと明確に強調した。苦しい人生の曲折を経たが、CEO退任を運命が与えた解放と捉えている。49歳で活力にあふれ、膨大な資源を手にする今、取引所の日常業務から完全に解放され、社会福祉を最大化できる新たな分野を自由に選べるようにしたのだ。
  • ライフワークGiggle Academyで永続的に無料の教育を: 世界の7億人の成人非識字者と5億人の不就学児童、そして伝統的な学校教育が生徒を同質的で凡庸な人材に作り上げてしまう弊害に直面し、CZは毎年500万ドルを投じて50人の研究開発チームを維持し、AIとゲーミフィケーションの仕組みに基づく無料教育アプリを開発している。プラットフォームは2年でゼロから200万人の子どもに拡大し、将来は数億人の子どもに届けることを目指す。支援を受けた子どもたちが将来自発的に恩返しすることで、100年続く永続的な好循環エコシステムを形成する可能性も探っている。
  • AIエージェント経済は暗号資産を血液としなければならない: 将来、すべての人間ユーザーは自分に代わってタスクを実行する数百、数千の自律型AI Agentを持つようになる。AIエージェントは従来の銀行で口座を開設したりクレジットカードを使ったりできない。許可不要で秒単位に確認できるCryptoだけが、大量かつ高頻度の微額オンデマンド決済を支えられる。AIとブロックチェーンの深い融合は、5年以内に社会全体の資産と取引の流通速度を1000倍から100万倍に高める。
  • 若者への打開策の助言:サラリーマン幻想を終わらせ、思い切って起業せよ: 現在は人類の商業史においてスタートアップ設立の障壁が最も低く、支援が最も強力で、成功確率が最も高い黄金の窓だ。CZは若者に、AIとブロックチェーンという新ツールをできるだけ早く身につけ、日本の伝統的な終身雇用という鉄の茶碗の束縛を打ち破り、挑戦に満ち、同時に極めて高いリターンにも満ちた起業家の道を勇敢に歩むよう強く勧めている。

二、注目の発言

  • 「Binanceの最初の基盤システムは、実は二十年前に東京で証券取引所向けにC++コードを書いていた日々に端を発している。技術ツールは進化し続けているが、低レイヤの性能と安定性を極限まで追求する姿勢は今も変わらない。」
  • 「2017年、私たちは600万ドルを投じてユーザーに補償した。その金額は当時のBinanceのトレジャリー準備金全体の40%を占めていた。やらなくてもよかったが、ユーザーを守ることはBinanceが業界首位に成長できた核心的な秘密であり続けている。」
  • 「将来、主権国家のフィンテックをめぐる競争における核心的な分水嶺は2つしかない。1つは取引所とステーブルコインの規制、もう1つはあらゆる資産のトークン化(Tokenization)だ。自国の株式、国債、さらにはインフラをトークン化して世界に売れる者が、世界の資本流動性を勝ち取る。」
  • 「米国の司法史全体において、これまで銀行秘密法違反のコンプライアンス上の不備ただ1件だけで投獄された人は誰もいなかった。だが私は不公平を嘆かない。世界は決して平等ではない。過去に耽るより、すべてのエネルギーと資源を人類に本当に有益なことに使うほうがいい。」
  • 「CEOを強制的に退任させられたことは幸運だった。自分から辞任していたら、人はCZは闘志を失ったと言っただろう。今の私は49歳で、働き盛りで経済的自由もあり、膨大な資源も持っている。ようやく最大のポジティブインパクトを生み出せる教育事業に全力を注げる。」
  • 「AIエージェントは決して銀行に並んで口座を開設したり、従来のクレジットカードを使ったりしない。何千ものAI Agentが人間に代わって自動売買、編集、マーケティング、微額決済を行うとき、暗号資産は彼らにとって唯一のネイティブな血液となる。」
  • 「日本旧来の終身雇用とサラリーマン文化は時代に淘汰されつつある。私はすべての若者に起業を選ぶよう強く勧める。起業は巨大な不確実性と苦痛に満ちているが、前例のない自由度、深いポジティブインパクト、そして階級を越える豊かなリターンをもたらす。」

三、本文

1. 東京証券取引所からBinanceへ:基盤システムの日本との淵源

司会: CZさん、PIVOT GLOBALにお越しいただき大変光栄です。普段は世界各地を頻繁に飛び回っているとのことですが、今日はどこからご出演いただいていますか?

CZ: 今はアブダビにいます。実は世界中をよく移動していて、日本も頻繁に訪れる場所の一つです。東京も北海道も大好きで、冬になるとほぼ毎年ニセコ(Niseko)へスノーボードをしに行きます。日本は私の私生活とキャリアの両方で、非常に重要な位置を占めています。

司会: あなたの新著を読むと、日本の読者が最も驚くのは、日本があなたの人生全体でこれほど重要な役割を果たしてきたことです。視聴者の皆さんに向けて、日本はあなたの人生でどのような位置にあると説明しますか?

CZ: 日本は確かに私の人生で非常に大きな一部分です。大学卒業後の最初のフルタイムの仕事は日本でした。当時、東京で東京証券取引所(TSE)向けのマッチングソフトウェアを専門に開発する技術会社に勤めていました。東京でのあの時期に、私は初めて体系的に取引マッチングシステム、注文執行システム、そして大規模取引所の基盤アーキテクチャの設計に触れ、学びました。トータルで数えると、日本には前後しておよそ6~7年住み、働きました。低レイヤ技術に詳しい同業者ならご存じのとおり、当時私たちが使っていたのはC++で、プログラマーがポインタの割り当てとメモリの解放を自ら管理しなければなりませんでした。その極限の性能、ミリ秒単位の遅延、システムの堅牢性に対する厳しい訓練は、長年の反復進化を経て、最終的に今日のBinance取引システムの最初の原型として結実しました。

司会: つまり、Binanceという大樹の最初の種は、実は早くも東京で蒔かれていたわけですね。そして2017年、日本は再びBinanceの運命の重要な転換点となりました。当時、具体的に何が起きたのですか?

CZ: 2017年7月、私たちは上海でBinanceを立ち上げたばかりでした。わずか6週間後、中国では2017年9月にICO、暗号資産取引所、仮想通貨マイニングが全面的に停止されました。しかし同じ時期、日本政府は非常に大きな先見性を示しました。日本は早くも2017年4月にビットコインの合法的な支払い手段としての地位を法律上正式に認め、さらに9月から10月にかけて暗号資産取引所に正式なライセンスの交付を開始し、最初に約16社を承認しました。

当時私たちはわずか30人の精鋭チームでしたが、製品ローンチからまだ6週間しか経っていないのに、プロダクトとマーケットの適合(PMF)をすでに非常にはっきりと検証できていました。ユーザーが自発的に登録に押し寄せ、取引量とアクティビティは爆発的に増加しました。中国国内の政策が引き締まる一方で、日本には極めて合法的で規範的なコンプライアンスの道筋があり、さらに海外市場が世界の潜在取引量の70~80%を占めていたため、私たちは迷わずチーム全体を東京の目黒区に移し、オフィスを借りてすぐに内装を進めました。東京で共に戦ったあの日々は、Binanceのグローバル拡大における最も重要な1ページです。

2. Binanceが世界一に至る道:危機の瞬間の責任と制度への省察

司会: 2017年を振り返ると、市場にはすでに多くの成熟した老舗取引所が存在していました。しかしBinanceは東京・目黒区のオフィスから始めて、わずか5カ月で世界の取引量第1位の取引プラットフォームに躍り出ました。あの伝説的な道のりを振り返るとき、Binanceがこれほど信じがたい速度ですべての競合を打ち負かせたのは、一体何だったのでしょうか?

CZ: 2017年12月17日、設立から5カ月足らずで、Binanceの1日あたりの取引量は正式に世界一に躍り出ました。表面的には私たちは5カ月しかかかっていませんが、実際にはそれ以前に、私は金融取引システムの分野で丸17年間しっかりと深耕してきました。私たちのチームは30人しかいませんでしたが、一人ひとりが業界のトップレベルの人材でした。

客観的に言えば、私たちは確かに歴史の流れに乗りました。2017年はICOが大爆発した年で、無数の新しい革新的トークンが登場し、Binanceは多様な革新資産の支援に特化した国際的なプラットフォームでした。一方、当時の日本国内の取引所は、初期のホワイトリスト方式に制限され、基本的に10~20種類の主要な基軸トークンしか上場できませんでした。2017年初め、世界の取引所ランキング上位10社のうち約5社が日本企業でしたが、資産の多様性が厳しく制約されていたために、世界中のユーザーの多様なニーズに直面すると急速に競争力を失いました。Binanceはこの波をつかみましたが、首位に立った後に9年連続で世界一の王座に就き続けるには、チームの日々の極限の努力と粘り強さが必要でした。

司会: システムアーキテクチャとタイミングの把握に加えて、あなたが重要な局面でユーザーに対して示した責任感は、業界でも極めて珍しいものです。突然の規制や市場の動揺に直面したとき、利益と信用をどのように天秤にかけましたか?

CZ: 2017年のあの草創期、主流の暗号資産プラットフォームのシステムアーキテクチャは一般的に脆弱でした。出金が止まったら、カスタマーサポートにチケットを送り、2カ月待っても一言の返信もないのは日常茶飯事でした。Binanceは初日から極めて高いサービス応答で業界標準を作り直しました。さらに重要なのは、私たちのチームが上海を離れて東京に移ることを決めたとき、中国国内の規制政策の調整によって引き起こされた資産変動に直面し、Binanceが自発的に全額任意補償の枠組みを開始したことです。

法的には、規制による変動はまったくプラットフォームの責任ではなく、私たちには自腹を切る義務は一切ありませんでした。しかし私たちは毅然として600万ドルの現金を拠出し、損失を受けたすべてのユーザーに全額補償しました。多くの人は知りませんが、その600万ドルは当時のBinanceのトレジャリー資金全体の40%に相当しました。生死を分ける大金でしたが、まさにこの生死の瀬戸際でユーザーの利益を最優先する決断が、世界の暗号資産ユーザーから最高の信頼を完全に勝ち取りました。

その後2018年初め、日本の規制ルールが数百種類の革新資産のコンプライアンス枠組みに適合しなかったため、私たちは残念ながら日本市場から撤退せざるを得ませんでした。しかしわずか数カ月後の2018年7月、日本西部は大洪水に見舞われ、81人が亡くなりました。商業的には日本撤退という挫折を経験したばかりでしたが、私は迷わずBinanceの名義で被災地に100万ドルの救援資金を寄付しました。ビジネスはビジネス、情誼は情誼です。ここには数え切れない旧友や元同僚がいて、私はこの土地を深く愛しています。この100万ドルの寄付は、世界の暗号資産業界が現実世界の人道的危機に対してこれほど多額の寄付を行った最初の事例となり、Binance Charityの誕生の起点ともなりました。

3. 日本の税制緩和と資産トークン化(RWA)の新時代

司会: 日本といえば、現在進められている重大な金融改革にも注目せざるを得ません。日本は法改正により、暗号資産のキャピタルゲイン税を、これまで最高55%に達した雑所得課税から20%前後の分離課税へ大幅に引き下げ、従来の株式市場と同等に扱う計画です。世界の投資家や産業界のリーダーの視点から、この政策転換をどのように評価しますか?

CZ: 税率を直接20%に引き下げ、税法上の地位で暗号資産を従来の株式と同等に扱うことは、間違いなく極めて英明で意味深遠な重大な措置です。従来の55%という懲罰的な高税率は、資本と人材が日本に定着することを深刻に妨げていましたが、20%のキャピタルゲイン税率が主流の金融資産と並ぶことで、世界的に見ても非常に強い吸引力を持ちます。この変化は必ず膨大な資金と取引量を再び日本国内市場に呼び戻すでしょう。

もちろん長期的に見れば、暗号資産の実際のユースケースは株式よりもはるかに広く、日常決済や越境決済など多様な機能も関係します。将来、決済シーンが普及するにつれて、日本には取引消費税などのミクロな税制でもより柔軟な優遇策を期待したいところですが、現段階では、この減税改革は日本がWeb3の主導権を奪い返すための極めて見事な一歩です。

司会: 日本は過去、コンプライアンス規制が極めて厳しかったため、多くの優秀な起業家やスタートアップが海外に流出しました。現在、税制と政策が大きく回復するなか、日本のスタートアップエコシステムの将来の機会をどのように見ていますか?

CZ: 日本は規制の歴史において、実は一貫して独特の軌跡をたどってきました。2017年から2021年の間、ルールは確かに非常に厳しくなり、多くの優秀な日本の起業家や海外の創業者が去らざるを得ませんでした。しかし過去2~3年、日本政府は驚くべき自己修正能力と開放性を示しています。Binance自身も2022年にコンプライアンスを満たす買収を通じて日本市場に再参入し、完全に準拠したライセンスを取得するとともに、ソフトバンク(SoftBank)の孫正義氏や日本国内の一流金融大手と深い合弁・エコシステム提携を展開しました。

起業家にとって、暗号通貨とトークンの仕組みを利用したグローバル資金調達は、人類史上最も効率が高く、参入障壁が最も低い資金調達方法の一つです。過去には規制の空白により、海外で実際に多くの便乗的な投機詐欺が発生しました。しかし日本では、社会文化として誠実性が高く、起業家は極めて厳格で集中的です。私は日本で多くの優秀な創業チームに投資してきましたが、悪質な資金持ち逃げ(Rug Pull)はほとんど見たことがありません。政策が十分な余地と規範的な指針を与えさえすれば、日本の起業家はWeb3の資金調達ネットワークを活用し、世界市場で急速に台頭できるはずです。

司会: あなたは頻繁に、世界の多くの主権国家の元首や規制当局の幹部に政策助言を提供しています。各国政府とやり取りするなかで、最も共通して関心が持たれている核心的な要望は何だと感じますか?また、彼らが最も見落としやすい重要な盲点はどこにありますか?

CZ: 各国の政府高官が関心を寄せる核心的な問題は、まとめると主に二大領域に集中しています。

第一の領域は、中央集権型取引所とコンプライアンスを満たすステーブルコインの規制枠組みです。大多数の国はすでに取引所ライセンスの論理を徐々に整理しており、現在の争点は急速にステーブルコインへ移っています。世界のステーブルコインの99%以上は現在、米ドル資産を担保に発行されており、米ドルはステーブルコインを通じてデジタル世界でさらに覇権地位を強めています。円は世界の基軸通貨の一つですが、この局面で動きが遅れれば、将来のデジタル決済ネットワークで受け身に陥ります。現在、日本の銀行とJPYCはすでに円ステーブルコインの布石を始めており、これは絶対に正しい戦略上、必ず争うべき領域です。

第二の、より巨大でより破壊的な領域は、あらゆる資産のトークン化(Real World Assets、RWA)です。世界のすべての国が、自国の現実資産をトークン化してオンチェーンに載せることを切望しています。これには政府の国債、優良上場企業の株式、不動産ファンド、レアアース鉱床だけでなく、戦略的な天然資源も含まれます。例えば私は最近、某国の政府と、その豊富な水資源をトークン化することを深く協議しています。隣国は淡水の供給が極端に不足しており、水資源トークンを発行することで、隣国はトークンの割当分を事前に購入でき、水資源を持つ国はこのプレセール資金を直接、現代的な淡水輸送インフラの建設に投じることができます。かつては、このような国境を越えるインフラ資金調達には、数年がかりの極めて煩雑な多国間銀行の審査が必要でしたが、資産のトークン化を通じれば、数分以内に世界的な資金調達と権利の確定を完了できます。

トークン化によって、従来の株式や国債は世界中の投資家に瞬時にシームレスに買われるようになり、資産の流通市場における流動性とプレミアム余地が大幅に高まります。日本の企業は戦略判断において非常に慎重で時間がかかる傾向がありますが、具体的なエンジニアリングの実行では比類ない爆発力を持っています。私は、日本がステーブルコインと資産トークン化という今回の大きな波の中で、迅速に後発から追い上げ、追い越せると信じています。

4. CEO退任と服役の心情:強制的な退位がむしろ人生の贈り物に

司会: 2023年から2024年にかけて、世界のテック業界を震撼させた人生の転機について話さなければなりません。当時、米司法省の調査のなかで、あなたは最終的に銀行秘密法違反(米国で金融サービス事業者として登録しておらず、マネーロンダリング防止スクリーニングに不備があった)1件について司法取引に合意し、BinanceのCEOを辞任し、2024年に4カ月服役した後、完全な恩赦を受けました。あなたは新著でこの時期の心境を詳細に記録していますが、今日振り返って、内心で最も率直な感想は何ですか?

CZ: あなたのまとめは非常に正確で客観的です。Binanceの創業初期、つまり2017年から2019年の間、プラットフォームには確かに米国本土のユーザーがいて取引していましたが、私たちは当時、米国で規制対象の金融サービス企業として登録していませんでした。これは米国の銀行秘密法に抵触しました。2022年から2023年にかけて米国の規制当局はこれについて全面的な告発を展開し、私はこの客観的事実を直視し、責任を負うことを選びました。

当時私はアラブ首長国連邦にいて、UAEと米国の間には引き渡し条約がありませんでした。逃げることを選べば、私はUAEに留まって世間と争わずに暮らすこともできました。しかし私は指名手配犯として余生を無駄に過ごすことは絶対に望みませんでした。私は問題に正面から向き合い解決するのが習慣なので、自ら米国行きの片道切符を予約し、出廷してすべての法的手続きに対応しました。

あの経験は決して愉快なものではありませんでしたが、極めて深い人生の教訓でした。私は極めて厳粛かつ明確に改めて強調したい。一連の司法告発のなかで、詐欺(Fraud)に関する有罪判決は一切なく、資金流用の告発もなく、一人のユーザーも損失を被っていません。これは純粋に金融登録のコンプライアンス上の犯罪です。私は、どのような荒波を経験しようとも、Binanceが常にすべてのユーザーの資産安全を100%守ってきたことを心から誇りに思っています。

司会: 4カ月に及ぶ自由を失った期間、あなたにとって最も挑戦的だったのは身体面の苦しさですか、それとも精神面の苦悩ですか?

CZ: 米国の司法史の全記録を開くと、今日に至るまで、銀行秘密法違反のコンプライアンス上の過失1件だけで実際に投獄された人はこれまで誰もいません。つい最近、バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)は深刻なシステム上のコンプライアンス不備により、規制当局から12億ドルという巨額の罰金を科され、違反の内容はさらに深刻でしたが、銀行の幹部は誰一人として刑事訴追されず、ましてや投獄された人もいません。

しかし私にとって、これらはすべて過ぎ去った雲のようなものです。この世界は決して平等ではありません。いわゆる公平さをあちこちで比べることに執着すれば、終わりのない精神的な消耗に陥ります。私たちは破壊的な暗号資産の最前線にいて、私は旧来の金融システムのなかでライセンスを取得しておらず、私は中国系の顔立ちで、1000億ドル規模の国際資本の流れを管理するプラットフォームを率いる創業者です。すべての変数が極めて特殊です。過去のことはすでに決着済みで、怨念に浸ることに意味はありません。

逆に一歩引いて見れば、CEOを強制的に退任させられたことは、実は運命が私に与えた奇妙な贈り物でした。自分から辞任を申し出ていたら、外界はきっとCZは情熱を失い、困難に妥協したと非難したでしょう。今回は外部の不可抗力によって強制的にその座を降ろされました。今の私は49歳で、依然として活力にあふれ、十分な時間、明晰な頭脳、そして膨大な富と資源を持っています。ようやく取引所の終わりのない日常的なコンプライアンスや運営の雑務に縛られず、内なる使命感に完全に従って、人類社会に最大のポジティブな変化をもたらせる新たな分野を自由に選べます。

5. Giggle Academy:永続的に無料のグローバルAI教育エコシステムを構築

司会: あなたがどん底を抜けた後、すぐに人生の新しい章を開きました。もしBinanceの創業が金融アクセスの自由の扉を開くためだったとしたら、あなたが最新で立ち上げ、全身全霊を注ぐ世界の子どもの教育プロジェクトGiggle Academyは、教育の平等というもう一つの自由の扉を開くものなのでしょうか?

CZ: まったくその通りで、この内面的な根本ロジックは完全に一貫しています。金融インフラの普及であれ、教育資源の底上げであれ、本質的には普通の人に公平な入場券を与えるためのものです。世界の誰もがすべての瞬間に完全に同じ富を持つことを保証することはできませんが、公正な文明社会は、すべての人に完全に平等な教育機会と価値を創造する出発点を与えなければなりません。そうして初めて、努力する人が本当に自分の運命を変えられるのです。

Binanceの経営陣を退任した後、私は自分が持つ資源と能力を深く見直し、自問しました。一体何をすれば人類文明全体に対して最大のポジティブなレバレッジを生み出せるのか、と。私の答えは教育でした。今日の世界の教育の現状は実に目を覆うばかりです。世界には7億人を超える成人の非識字者がいて、その3分の2は東南アジアやアフリカなどの発展途上地域に暮らす女性です。同時に、世界には5億人を超える学齢期の子どもが、単に家が貧しいか、近くに学校がないという理由だけで、まったく学校に通えていません。

さらに深刻なのは、学校に通える子どもたちでさえ、現行の伝統的な受験教育体制が才能を殺していることです。現代の学校はすべての人を画一的で凡庸な歯車に育てる傾向があります。もしあなたが言語の才能に非常に恵まれていても数学がやや苦手なら、学校は国語の時間を削って数学に死に物狂いで取り組むよう強制し、最終的にはあなたを特徴のない凡庸な人間に磨き上げてしまいます。しかし高度にグローバル化したAI時代には、世界はある特定のニッチ分野で極限まで卓越した人材だけを必要とし、凡庸さには競争力がまったくありません。加えて、優秀な教師の資源が世界的に極度に不足していることもあり、教育体系全体は根底から覆される必要があります。

司会: これほど巨大な世界規模の難題に対して、Giggle Academyはどのように新しい技術パラダイムで打開しようとしていますか?

CZ: 生成AI、先進的なゲーミフィケーション(Gamification)の仕組み、そしてどこにでもある安価なスマートフォンを活用すれば、私たちは1つのアプリを通じて、世界最高のカスタマイズ教育をすべての人に無料で届けることができます。このプロジェクトはすでに丸2年間、秘密裏に磨き上げてきました。

当初は小学1年生の英語から始めるつもりでしたが、すぐに気づきました。子どもは6歳になると、認知と発音の差がすでに極めて大きく開いているのです。科学研究によれば、人間は1歳半から2歳の頃に言語システムの重要な学習ウィンドウを開きます。そのため、Giggle Academyは就学前教育の対象年齢を直接2歳まで下げました。現在、私たちは2歳から6歳までの高いエンゲージメントと適応性を備えたインタラクティブなカリキュラムをすでに開発し終えています。過去1年間で、プラットフォームの学生規模は爆発的な指数成長を遂げました。2026年初め、登録学生はまだ約10万人でしたが、現在ではプラットフォーム上のアクティブな学習中の子どもは200万人を突破し、わずか1年で実に20倍の急増を実現しました!これは、世界が質の高い無料のデジタル教育にどれほど飢えているかを十分に証明しています。

さらに素晴らしいのは、コスト構造の観点から見ると、この事業のレバレッジ率は驚くほど高いことです。私は毎年およそ500万ドルを投じ、約50人のトップエンジニアチームを維持してソフトウェアをフルタイムで開発しています。純粋なデジタル製品の限界費用はほぼゼロなので、200万人の子どもを教える場合と、将来2億人、さらには20億人の子どもを教える場合では、サーバーとコードの限界費用に本質的な違いはほとんどありません。短期的には、私は毎年500万~2000万ドルを自己負担で投じますが、個人の資力で20年間連続して支援することは十分に可能です。そして20年後、無料教育の恩恵を受けた子どもたちが成人して仕事に就き、相応の高収入を得るようになったとき、ごく一部の人だけが自発的に収入の5%をプラットフォームに還元するとしても、Giggle Academyは永続的に自己成長する巨大な好循環を形成するのに十分です。これは私の人生で最も楽しい事業であり、Giggleチームと会議をしてデータを見るたびに、私は心から幸福を感じます。

6. AIと暗号資産の必然的な融合:若者への起業に関する核心的な助言

司会: 今後を展望すると、あなたはWeb3、AI、最先端のバイオテクノロジー分野で極めて集中的に投資配置を行っています。技術の最前線に立つ伝道者として、AIとブロックチェーンという二つのスーパーサイクルの交差的進化をどのように見ていますか?今後3~5年で、私たちは一体どのような世界を迎えるのでしょうか?

CZ: 時間軸を長く取れば、私が成人してからの数十年の間に、人類社会は文明の基盤を変える3つの超大型技術革命を相次いで迎えました。第1の波はインターネット、第2の波はブロックチェーン、第3の波が現在の生成AIで、それぞれの間隔はおよそ15年です。AIの破壊性は、あらゆる業界の生産性の限界を指数関数的に引き上げられることにあり、私たちはまだこの象の尻尾の一本に触れたにすぎません。

しかし人々が見落としがちな致命的な根本問題があります。AIはネットワークに依存して存在しなければならず、さらに重要なのは、AIは通貨を使わなければならないということです!近い将来、誰もがバックエンドに数百、数千、さらには数百万の自律稼働するAI Agentを持つようになります。例えば今日このインタビューを録画し終えた後、あなたのバックエンドには専用のAIエージェントがいて自動的に精密なカットで動画を編集し、専門のマーケティングエージェントが配信と誘導を行い、財務エージェントが世界中の視聴者から視聴料を徴収します。これらのAIエージェントの間では、毎分毎秒、天文学的な規模の自動価値決済が行われています。

さて、AIエージェントは従来の銀行窓口に出向いて口座開設の申請をするでしょうか。AIエージェントはプラスチックのクレジットカードを使ったり、紙の小切手に署名したりするでしょうか。絶対にあり得ません!唯一の解決策は、摩擦のないマシンフレンドリーなCrypto-Nativeのデジタル通貨を使うことです。AI時代の到来は、暗号資産の価値を弱めるどころか、社会全体のマイクロトランザクション(Micro-transactions)の頻度を1000倍、さらには100万倍に押し上げます。例えば将来、ユーザーが高品質な動画を1本見ると、AIエージェントがバックエンドで自動的にあなたから1円を差し引きます。あなたはもはや、月額2万円にもなるような巨大なサブスクリプションパッケージを無理に月単位で契約する必要はありません。マイクロペイメント、デジタルID認証、所有権のオンチェーンでの権利確定、この一連のマシン経済プロトコルはブロックチェーンが担わなければなりません。このAIとCryptoの究極の融合の嵐は、10年も待つ必要はまったくなく、5年以内に全面的に押し寄せると私は考えます。

司会: 番組の最後に、もう一度東京に戻りましょう。もし今日、東京の街で迷いながら模索している若いプログラマーや若い起業家と腰を据えて深く話せるとしたら、あなたが最も伝えたい核心を突く助言は何ですか?

CZ: 今日は、人類有史以来スタートアップを起こすのに最良の黄金時代であり、今日に勝る日はありません。未来にはもっと良い日が来るかもしれませんが、人類がこれまで歩んできたすべての歴史の中で、今日が最高の日です!

未来の主導産業はすでに極めて明確です。AI、ブロックチェーン、次世代インターネット。あなたがこれらの核心分野で、他人の実際の課題を本当に解決し、同時に自分が愛し得意とする製品を鋭く捉え、腰を据えて全力で形にすれば、大きな世俗的成功と経済的自由を得る確率は想像を超えて高くなります。

日本社会は長らく、大企業に入って一生サラリーマン(Salaryman)として働く終身雇用文化を称賛してきました。この見方は日本で聞くと非常に議論を呼ぶかもしれませんが、私は若者に極めて率直に伝えなければなりません。私はこの道を勧めません!現在の激しい破壊の時代において、組織内の歯車になることは最も危険な幻想です。私は若者に起業の道を選ぶよう強く呼びかけ、勧めます。起業には必然的に巨大な不確実性が伴い、常人には想像できない苦痛とプレッシャーが伴いますが、同時に前例のない自由度、深い社会的ポジティブインパクト、そして家族の運命を変え得る豊かな経済的リターンをもたらします。早く新しいツールを受け入れ、勇敢に場に飛び込み、構築してください!

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著者:深潮TechFlow

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