著者:かおり
編集者: Sleepy.txt
2026年2月末のCircleの株価は83ドルでした。9か月前は298ドルでした。
CircleのIPO後270日間で、USDCの流通供給量は750億枚を超え、第4四半期の総収益は前年同期比77%増の7億7000万ドルに達しました。これらの数字は、ウォール街のどのセクターでも立派な数字と言えるでしょう。
強気であろうと弱気であろうと、この強気相場で最も注目されている仮想通貨上場企業である Circle は、依然として同じ企業ですが、市場は価格をどのように設定するか確信が持てず、まだコンセンサスが形成されていません。

市場は270日間で3回価格を改定した。
2025年6月5日、CircleのIPO価格は31ドルでした。株価は寄り付き時に42ドルまで急騰しました。トレーダーが何が起こっているのか理解する前に、午後の引けまでに既に55ドルに達していました。
ウォール街が Circle に付けた最初のレッテルは、Nvidia の暗号化バージョンというものでした。
このアナロジーは理にかなっています。NVIDIAはGPUによってAIコンピューティング層を支配し、CircleはUSDCを用いて暗号資産の世界で決済ネットワークを構築しました。USDCの取引の裏には、金利を生み出す国債という現実世界の資産1ドルが横たわっているのです。
Circle は市場の方向性に賭ける必要はなく、十分な量の USDC の流通を確保するだけで、利息収入は水のように自動的に流れ込んできます。
市場は、Circle が現在どれだけの利益を上げているかではなく、ステーブルコインが世界的な決済レイヤーになるというストーリーを信じています。
連邦準備制度理事会(FRB)の基準金利が2024年も5%を上回っている状況では、Circleは準備金利だけで年間15億ドルの利益を上げる可能性があります。この数字は、Circleがテクノロジー企業であるかどうかという疑問を無意味なものにします。
しかし、そこには地雷が埋められており、当時は誰もそれに触れようとしませんでした。
Circle の主な収益は、同社がまったく制御できない変数、つまり連邦準備制度の金利によって決まります。
テクノロジー企業として株価が設定されている企業が、マクロ経済政策にその運命を賭けている。この矛盾はIPO当日の市場の熱狂によって覆い隠されたが、消えたわけではない。
Circle の IPO からわずか 1 か月後、米国下院は GENIUS 法案を可決しました。
ステーブルコインが連邦レベルの法的支援を受けたのは今回が初めてであり、市場の反応は予想をはるかに上回りました。Circleは1日で30%以上の上昇を記録し、機関投資家の資金がダムから放水されたかのように流入しました。
7月初旬、USDCの流通供給量は600億枚を超えました。7月中旬には、Circleの株価は最高値の298ドルに達し、時価総額は720億ドルを超えました。
企業の時価総額が31ドルから298ドルに上昇するのに6週間もかからず、ナスダックの大型株企業としては2023年以来最速の値上がりとなった。
ウォール街のアナリストたちは、Circle の適正な評価額はいくらになるのか議論を始め、500 ドルという意見もあれば、1,000 ドルでも論理的に支持できると積極的に主張するアナリストもいた。
彼らの計算は次の通りです。流通量が600億USDCで、金利が4.5%のままであれば、年間の利息だけで270億米ドルになります。これにテクノロジー企業の評価倍率を加えると、非常に良い数字になります。
しかし、当時は誰も真剣に受け止めていなかった問題が 2 つありました。
まず、連邦準備制度理事会(FRB)が利下げのシグナルを出し始めています。次に、CoinbaseはUSDCの最大の発行者であり、Circleから得られる利息の大きな部分を徴収することになります。
8月初旬、Circleは第2四半期の財務報告を発表しました。純利益が予想を上回り、USDCの流通量も引き続き増加するなど、非常に好調な数字でした。市場は一時歓喜に沸いたものの、その後、財務報告の内容をじっくりと読み始めました。
これを読んで、サークルの株価は落ち着き始めました。問題は2つの数字の比較にありました。売上高の伸びは66%でしたが、流通コストの伸びは74%でした。流通コストの伸びは売上高の伸びを上回っていました。
この問題の根本的な原因は、Coinbaseの利益分配構造にあります。CoinbaseはUSDCの最大の発行者ですが、Circleとの利益分配契約には設計上の欠陥があります。流通供給量が増えるほど、Circleが分配しなければならない割合も大きくなるのです。
規模が大きくなるほど、単位収益は低下します。これはCircleの経営陣のミスではなく、プロトコル自体に組み込まれているものです。ただ、この問題は急成長期における流通量の絶対的な増加によって見えにくくなっているだけです。
これが Circle の最初のハードルです。2 番目のハードルは金利から生じます。
9月、連邦準備制度理事会(FRB)は初めて政策金利を25ベーシスポイント引き下げました。10月にはさらに25ベーシスポイントの引き下げが行われ、準備金利回りは前年比で96ベーシスポイント低下しました。サークルにとって最も頼りになる収入源は着実に縮小しています。

市場は当初、これら 2 つの問題は別々に考えることができると考えていた。つまり、Coinbase の利益分配は交渉事項であり、いつでも再交渉できるものであり、金利の低下は次のサイクルで再び発生する周期的な問題である、としていた。
しかし、2025年第3四半期の決算発表の週に、サークルの株価は30%急落し、初めて70ドルを下回りました。市場はついに、この2つの亀裂が同じ結論を指し示していることに気づきました。サークルの収益は、金利によって上から圧迫され、利益分配によって下から侵食されているのです。
Circleが金利から利益を得ているのであれば、それはテクノロジー企業ではなく、単なるレバレッジをかけた国債ファンドに過ぎません。もしその成長がCoinbaseに利益をもたらしているだけなら、その成長の質を再計算する必要があるでしょう。
これら 2 つの問題が重なり、298 ドルという価格の根拠は完全に崩れ始めました。
2025年末から2026年2月にかけて、Circleの株価は50ドルまで急落しました。
この間、ステーブルコインが利息を支払うべきかどうかを規定するCLARITY法の施行が遅れている。
市場は待機状態にあり、待機状態こそが最も苦痛な状態です。この期間中、株価は緩やかに下落します。なぜなら、不確実性自体が割引となるからです。
金利引き下げは継続している。市場は、サークルが規模の拡大を通じて金利低下を相殺する必要があることに気づき始めている。
サークルの変容
昨晩の決算発表を例に挙げましょう。サークル社の株価は急上昇しましたが、市場の反応は単純ではありませんでした。
数字自体は良好に見えますが、投資家は次の 2 つの点に注目しています。
- まず、準備金収益率は前年同期の4.5%から3.8%に低下しており、金利引き下げ圧力はすでに財務諸表に反映されている。
- 第二に、流通コストは通年で16億6200万元に達し、収益と比例して増加しており、契約構造の問題は改善されていない。
法案が可決されるまでは、最も優れた財務報告であっても、市場価格設定の論理的なジレンマを変えることは難しいだろう。
Circleの経営陣は、金利が不安定な要因であることを明確に認識しています。2025年後半以降、同社はいくつかの取り組みを開始しており、その中には目立たないものも含まれていますが、大きな影響力を持つものもあります。
これらの行動には共通の論理があります。それは、Circleを準備金金利で収益を上げる企業から、3層構造のプラットフォームへと変革することです。最下層はインフラ、中層はデジタル資産、そして最上層はアプリケーションです。各層は金利に依存しない収益曲線を生み出そうとしています。

基盤となるレイヤーはArcです。Circleは独自のレイヤー1ブロックチェーンを構築しており、インターネットの経済オペレーティングシステムとして位置づけられています。テストネットのローンチからわずか90日で、1億5000万件以上のトランザクションを処理し、アクティブウォレットは150万近くに達し、平均決済時間は0.5秒です。これらの数字は、Arcが単なる実験的なプロジェクトではなく、そのパフォーマンスが機関投資家が真剣に検討できるレベルに達していることを示しています。
Arc が、機関がオンチェーン ビジネスを運営するための優先インフラストラクチャになった場合、Circle は USDC の発行者になるだけでなく、通行料を徴収する道路そのものになります。
Arcを補完するのが、クロスチェーン送金プロトコルCCTPの継続的な拡張です。2025年12月現在、USDCは30のチェーンでネイティブに発行されており、そのうち19のチェーンがCCTPに接続されています。累計処理額は1,260億ドルに達しています。
さらに重要なのは、CCTPが単純なクロスチェーン送金ツールから、フックとCircle Gatewayを介した統合クロスチェーン残高管理を備えた構成可能なレイヤーへと進化していることです。これは、USDC流動性を利用する開発者が基盤となるチェーンを意識する必要がないことを意味します。規模が大きくなるほど、クロスチェーン決済の基盤レイヤーとしてUSDCを置き換えることは困難になります。
中間層は資産の多様化を伴います。CircleはUSDCに加え、トークン化されたマネーマーケットファンドであるUSYCの規模を2025年に拡大し続け、2026年1月時点で運用資産は16億ドルに達しました。USYCはオンチェーンの利付資産であり、実質的に従来のマネーマーケットファンドの収益をブロックチェーン上に置きます。
最上層は 2 つのアプリケーションで構成されます。
Circle Payments Network(CPN)は、銀行、決済サービスプロバイダー、そして企業を同じネットワークに接続し、年間取引額は数十億ドルに達します。CPNは、国境を越えた資金移動のデフォルトの手段となることを目指しています。
StableFX は Arc テストネットと同時に開始され、機関が即時のオンチェーン決済で 24 時間 365 日ステーブルコイン外国為替ペア取引を行えるようになり、通貨間の流通で最も頻繁に発生する摩擦を解決します。
さらに、Circle は B2B ビジネスに近い xReserve を立ち上げ、他のブロックチェーン チームが USDC を担保としてエコシステム内で独自のネイティブ ステーブルコインを発行できるようにし、Circle が準備金の証明と基礎となるインフラストラクチャを提供します。
これらの動きを総合的に見ると、Circleはプラットフォームベースのポジショニングを描いています。Arcは決済レイヤーを、CCTPはクロスチェーン流動性を、USDCとUSYCは資産レイヤーを、CPNとStableFXはアプリケーションのエントリポイントをコントロールしています。
各層は堀を強化しており、また各層は金利の低下の余地も残している。
AIの波における新たな変数
戦略的な計画だけではなく、トレンドのトピックにも注目する必要があります。
OpenClawオープンソースエージェントシステムのリリース後、CircleはAIエージェントのみを対象としたハッカソンをすぐに開催しました。エージェントたちはUSDCを用いてアプリケーションを構築し、互いに競い合いました。そして最終的に、エージェント同士の投票によって優勝者が選ばれました。

Circleはエージェントナラティブの動向を綿密に追うことで、AIエージェント決済分野で確固たる地位を築いたと言えるでしょう。
Circle が本当に期待しているのは、銀行や人間の承認、決まった時間枠なしで、数百億の AI エージェントが互いに雇用し、支払いを行い、アカウントを決済する未来のインターネットという物語です。
このシナリオでは、従来の決済システムは競合相手ではなく、単に存在しないのです。クレジットカードネットワークはマシンツーマシンの自律決済をサポートしておらず、KYCは手動で行われ、決済サイクルは数日単位で測定され、クロスチェーン技術はここでの議論の範囲外の概念です。人間向けに設計されたこのインフラは、AIエージェントにとって障壁となります。
USDCは違います。Circleはすでに30のブロックチェーンにインフラを展開しており、Circle Gatewayはテストネット上でプロキシ決済専用の機能をリリースしました。1取引あたりのコストは0.00001ドル、決済時間は1秒未満で、プロキシは人間の介入なしにクロスチェーン取引を独立して開始できます。
CircleのCEO、アレール氏は昨晩の決算説明会で、追跡可能なAIを活用した代理決済の99%が現在USDCを使用していると述べました。この数字は先行者利益の確固たる証左です。Circleは既にx402などの主流の代理決済規格の開発に参加しており、APIをスキルライブラリとMCPサーバーにパッケージ化し、開発者ツールチェーンに組み込んでいます。
AIを用いてプロキシアプリケーションを開発する開発者は、ほぼ間違いなく最初のステップからUSDCに遭遇するでしょう。このロジックの強みは、Circleの評価フレームワークを完全に書き換えた点にあります。
これまで、投資家はCircleの収益をUSDCの流通量に金利を乗じて計算しており、最終的な収益は連邦準備制度理事会(FRB)による金利引き下げによって抑制されていました。しかし、将来、取引量の主流が数百億のAIエージェントによる高頻度・小口決済になると、金利は背景ノイズと化すでしょう。
電話会議中、アレール氏は「貨幣の流通速度」という概念を用い、AI主導の経済においては貨幣の流通速度が現在の金融システムよりも桁違いに高くなると示唆した。この流通速度の向上には金利は必要なく、それ自体が成長の原動力となるだろう。
Circleが真に市場に信じさせたいのは、まさにこのストーリーだ。AIによる取引量の増加が別の角度から金利引き下げを相殺できるため、金利引き下げはもはや恐ろしいものではない。また、USDCが金利資産ではなく決済手段に過ぎないとしても、プロキシ経済の規模が実現する限り、CircleはArcの取引手数料、CPNの越境手数料、プラットフォームAPI呼び出し手数料から利益を得ることができるため、利子付法案の行方もそれほど決定的ではない。
これは意図的な期待管理の試みであると同時に、真の戦略的変革でもありました。両者は同時に起こったため、外部からはどちらが積極的な選択でどちらが強制的な対応なのかを見分けることが困難でした。
3月1日以降
しかし、Circle が今後いくつかの障害に直面しているという事実を依然として無視することはできません。
ステーブルコインが透明性法に基づいて利息を支払うべきかどうかをめぐる議論は、表面上は規制枠組みの問題だが、実際には銀行業界にとっては生死に関わる問題である。
バンク・オブ・アメリカのモイニハンCEOは、利子付きステーブルコインに断固として反対してきた。彼は、議会の規制がなければ、最大6兆ドルの預金が銀行から移動される可能性があり、これは米国の商業銀行預金総額の約30~35%に相当すると主張している。パトリック・ウィット上院議員は妥協案として、保有残高への利子支払いを禁止する一方で、取引活動に対する報酬を認めることを提案した。両者は妥協したが、どちらも望みを叶えることはできなかった。
ステーブルコインの利回りに関する第3回会合は2月20日にホワイトハウスで終了したが、結論は出なかった。情報筋によると、法案は3月1日までに最終決定される可能性があるという。
ここで言及する価値のある歴史的な反響があります。1977年、メリルリンチはCMA口座を利用して、銀行が当座預金に利息を支払うことを禁じる規制枠組みであるレギュレーションQを回避し、マネーマーケットファンドの高い利回りを一般の人々が利用できる口座にまとめました。
膨大な資金が銀行からメリルリンチへと流れ込みました。議会がこの市場の現実を正式に認め、1986年にレギュレーションQを廃止するまでには、ほぼ10年かかりました。
Circleが現在行っていることは、本質的に同じです。つまり、ドルを非効率的な古いシステムから新しい容器に移すことです。規制は追いついているだけで、先導しているわけではありません。
しかし、重要な非対称性が存在する。メリルリンチは高金利時代に創業し、マネー・マーケット・ファンド(MMF)が極めて高い利回りを提供していたため、CMA口座は預金者にとって当然魅力的なものだった。一方、サークルは金利低下の時期に同様の変革を成し遂げなければならなかった。
これがCircleにとって最大の課題であり、AIを活用した決済代行サービスに積極的に取り組んでいる理由です。金利に左右されない新たな成長戦略が必要であり、しかもそのスピードも重要です。
CLARITY法が最終的に妥当な裁量を与えれば、USDCは決済手段から金融インフラへの変革を完了し、機関投資家の参入を加速させ、Circleにプラットフォーム変革のためのより有利な機会を提供することになります。
法規制が強化されれば、Circleは銀行のような存在になり、コンプライアンスコストの増加、イノベーションの鈍化、そして差別化された優位性の一部喪失につながる可能性があります。むしろ、両者に不満を残す複雑な結果となる可能性が高く、これは歴史上最も重要な金融変革のほとんどがそうであったように、終焉を迎えることになります。
Circle の株価は現在 80 ドルですが、その数字自体には意味がありません。
重要なのは、それが表す状態です。つまり、実質的な利益、成長、技術的な道筋を持ちながら、規制の崖っぷちに立って、制御できない判決を待ちながら、待っている間に、Arc、CPN、AI支援による支払いを3本の柱として活用し、テクノロジー企業としての地位を再証明しようとしている企業です。
270 日間の 3 回の料金改定期間により、Circle は本質的に次の質問に答える必要があります。利息収入が信頼できなくなった場合、何を使って価値を証明するのでしょうか。
経営陣は答えの概要を示しており、3月1日以降にはさらなる手がかりが明らかになるだろう。



