「ラッパー」AIに別れを告げる:YC、起業家に資産集約型の11分野への参入を呼びかけ

Y Combinator(YC)は最新の「Request for Startups(RFS)」で、AIのボトルネックが基盤モデルの性能だけでなく、現実世界への実装や物理的・制度的制約へ移りつつあるとの見方を示し、次の11分野を重点テーマとして挙げた。①打ち上げコスト低下を前提とした商業宇宙、②AIで一般労働者に専門業務を担わせる低価格の専門サービス、③米国内でのロボットと部品の製造、④文体や表現力に優れた大規模言語モデル、⑤政府給付の本人確認・データ連携基盤、⑥ロボットやGPUなど実物資産向けの融資・リース・証券化・ヘッジ手段、⑦製造・エネルギー・生命科学向けの垂直型基盤モデル、⑧建築許可など地方自治体業務のAI化、⑨AIデータセンター向けの電力・冷却・送電網サプライチェーン、⑩防衛・医療・金融など物理隔離環境向けのAI、⑪企業が自社データとインフラで運用するプライベート/オープンソースモデル。YCは、これらは投資領域の一部であり、掲載されていない事業の応募も妨げないとしている。

要約

著者:Y Combinator チーム(Garry Tan、Brad Flora、Diana Hu、Jared Friedman、Gustaf Alströmer、Ankit Gupta、Jon Xu ほか)

翻訳:深潮 TechFlow

深潮ガイド: シリコンバレーと世界のベンチャーキャピタル生態系の進化の過程で、Y Combinator が発表する「スタートアップ希望リスト(Request for Startups、RFS)」は、かねてより技術潮流の最前線を示す風見鶏であり、嵐の目とも見なされてきた。歴史を振り返れば、初期のクラウドコンピューティング、モバイルインターネット、Stripe 型の金融インフラから、その後の垂直 SaaS まで、YC の RFS は技術が質的転換を迎える前夜に、巨人がまだ独占しておらず、しかも技術による再構築が急がれる処女地を、起業家と資本に的確に指し示してきた。

今回の最新 RFS で、YC はきわめて明確かつ重要なマクロ判断を示している。すなわち、AI 発展の最大のボトルネックは、もはや基礎大規模モデルのパラメータやアルゴリズムそのものにとどまらず、現実世界へと加速的に拡散しつつあるということだ。純粋なソフトウェア層の浅いラッピングはプレミアムを失いつつあり、真の破壊的機会は、実体製造業、エネルギー・電力網インフラ、行政のデータサイロ、高セキュリティ隔離体系、商業宇宙といった、資本集約的で物理的制約の強い深水領域へと全面的に移行しつつある。

本長文は、YC の中核パートナーチームが重点的に賭ける 11 の先端分野をまとめたものである。時給 15 ドルの「平民化」した AI 専門家から、真に文学水準の高い文章力を備えた執筆用大規模モデルまで、さらには米国でのロボット国内製造、データセンター向け電力・冷却のサプライチェーン、兆ドル規模インフラのためのウォール街的金融ツール、そして企業専用のプライベート化モデル体系にまで及ぶ。深潮 TechFlow は全文を完全翻訳し、AI の波の最前線に立つすべての起業家、研究者、投資家に向けて、得難い産業の全体像と航海の手引きを提供する。

「スタートアップ希望リスト(Request for Startups、RFS)」の発表は、私たち Y Combinator の長い伝統であり、世界の起業家と、私たちが最も見たいと願う重要な課題を共有することを目的としている。

ただし、これらの方向は私たちの投資ポートフォリオのごく一部にすぎない。もしその中のいずれかのテーマがあなたの情熱に火をつけたなら、それを全力で取り組むための強力な後押しと受け取ってほしい。たとえあなたのスタートアップがこのリストに含まれていなくても、YC への応募を妨げるものでは決してない。

目下の大きなトレンドは、AI が直面する最大のボトルネックが、モデル層そのものから外へと急速に広がりつつあることだ。

私たちは新たな波のスタートアップに大きな期待を寄せている。彼らは、フロンティア知能を現実の実体経済へと真に注入するために必要なハードウェア、インフラ、金融システム、そして専用の垂直ソフトウェアを全力で作り上げており、その領域は工場製造やデータセンターから、行政運営、さらには宇宙空間まで広範に及ぶ。

低コスト宇宙打ち上げ時代のスタートアップ

**執筆者:**Ankit Gupta(YC グループ・パートナー)

SpaceX は明確な近未来像を描いている。そう遠くない将来、スターシップ(Starship)の年間打ち上げ回数は 1 万回に達するという。

現在、回収しない使い捨てのスターシップ 1 基でも、その打ち上げコストはすでに再利用可能なファルコン 9 号(Falcon 9)とほぼ同等であり、軌道投入 1 キログラムあたりのコストはさらに大幅に低下している。

スターシップ技術がスケール化し、完全な再使用が実現するにつれ、有効搭載量 1 キログラムあたりの打ち上げコストが数桁単位で急落するのを目の当たりにするだろう。

つまり、今こそ「宇宙アクセスが潤沢な時代」のスタートアップ機会を体系的に考える絶好のタイミングだ。

今日では打ち上げコストに制約されて成立しにくいが、打ち上げコストが 100 分の 1 、さらにそれ以下に暴落し、軌道経済が全面的に爆発した途端にきわめて実行可能になるビジネスモデルには、どんなものがあるだろうか。

私たちは、こうした企業は今すぐ立ち上げるべきだと考えている。この領域の開拓を志すビルダーであれば、YC はあなたの応募を心待ちにしている。

時給 15 ドルの専門家:AI が駆動する「誰もが使える」専門サービス

**執筆者:**Brad Flora(YC グループ・パートナー)

AI について、現在多くの議論はそれが既存の労働者をどう置き換えるかに集中している。しかし、私たちが本当に興奮しているのはまったく逆の道筋である。AI の力を借りて、一人の普通の労働者をそのまま専門家水準の人材へと変えることだ。

私たちは、学位や資格の制約を超えて、きわめて高い理解力と実行力を持つ普通の人々を採用する企業が増えているのを目にしている。先進 AI で全方位的に武装すれば、彼らはかつてベテラン専門家しか扱えなかった複雑な業務をこなせるようになる。

想像してほしい。コミュニケーション能力に優れ、同時に AI を使いこなすカスタマーサービス担当者が、突如として複雑な企業買収(M&A)、サプライチェーン最適化、あるいはグローバル貿易コンプライアンスについて助言を提供する能力を身につける姿を。

公的給付、税務計画、保険金請求、医療費請求の精査、移民ビザ書類といった分野には、これと同様の職務が数百万単位で存在している。

要するに、専門資格の認証がサービス供給のボトルネックとなっているところでは、このモデルが大いに力を発揮できる。

前回の産業革命は工場のブルーカラー職を通じて巨大な現代の中産階級を生み出した。そして今回の技術変革は、誰もがアクセスできる専門家型の職務を通じて、まったく新しい中産階層を再構築する可能性を十分に秘めている。

私たちはこのビジョンの実現に取り組むスタートアップを全力で支援したい。

アメリカ製ロボット:ハードウェアの国内回帰

**執筆者:**Diana Hu(YC グループ・パートナー)

今日、最先端のロボット基盤モデルはすでに形態や機種を超えた汎用スキルの転移を実現し始めている。私の見立てでは、ロボット分野の競争ボトルネックは急速に物理ハードウェア側へ移りつつある。

2025 年、米国国内には計 3 万 8400 台の産業用ロボットが設置され、前年比 12% の増加となった。しかしその大半は依然として日本や欧州からの輸入に大きく依存している。

米国国内で組み立てられるロボットでさえ、その根幹の中核部分は中国製の磁石に深く依存していることが少なくない。

2024 年、中国は世界の焼結希土類永久磁石の 94% を生産した。2025 年 4 月に輸出制限政策が打ち出されると、一部の自動車大手は生産能力を直接削減せざるを得なくなった。

さらに 7 月には、米国連邦通信委員会(FCC)が新型のネット接続移動ロボットの認証を停止した。当該ロボットが完全に米国国内製造であるか、ごく少数の例外許可を得ている場合を除く。

現行のコンプライアンス基準では、1 台のロボットは部品コストの 65% 超を国内製造に由来しなければならず、この比率は 2029 年には 75% まで引き上げられる。つまり、輸入部品を国内に運んで組み立てるだけの貼り付けルートは完全に行き詰まったということだ。

私たちは、米国国内でロボットおよびその上流サプライチェーン全体を自主開発する起業家を全力で支援したい。

対象には、希土類磁石、モーター、波動歯車減速機(Strain-Wave Gears)、エンコーダ、トルクセンサ、先端の把持機構(エンドエフェクタ)、専用チップ、バッテリーパック、そしてこれらの部品を製造するための高精度工作機械と生産設備が含まれる。

この領域で深く取り組んでいるなら、ぜひ詳しく話を聞かせてほしい。

真に高い文章力と深い執筆能力を備えた大規模言語モデル

**執筆者:**Jared Friedman(YC グループ・パートナー)

大規模言語モデルがプログラミングと数学的推論の能力で飛躍的に進歩する一方で、文章力やライティング表現の面では静かに後退している。

これは決して気のせいではない。2024 年や 2025 年のモデルと比べて、現在の主流の大規模モデルは語調がより画一的で、より機械的になっているのは確かだ。

これは偶発的な一時的技術欠陥ではなく、深層的な構造的難題のようだ。

モデルにトップクラスのプログラミング能力を持たせるために設定された強化学習の報酬シグナル(Reward Signals)は、実際の訓練においてモデルの語調の彩り、感情の起伏、独特な文体を積極的に削ぎ落としてしまう。

研究開発資源のトレードオフに直面すれば、各大手 AI ラボは間違いなく、計算資源をコード生成と自律エージェント型ワークフロー(Agentic Workflows)へ優先的に傾け、文章の質感や文体へのこだわりを捨てるだろう。

これはまさに、スタートアップに巨大な市場の空白を残している。人々が心から交流を楽しめる、温度と深みのある文章を持つ個性あるモデルを作ることだ。

この方向で突破口を開きたいと願うなら、ぜひ連絡してほしい。

政府給付・公的支援分野の「Plaid」:行政データのサイロを打ち破る

**執筆者:**Gustaf Alströmer(YC グループ・パートナー)

政府機関に公的給付を申請したことがある人なら、この煩雑な手続きに心底うんざりしたはずだ。収入証明の発行、同居家族の確認、居住地の証明の提出。そして次の支援制度に移れば、すべての書類をもう一度提出し直し、年度の資格審査になれば、同じ苦行がまた繰り返される。

政府の各行政部門はそれぞれ独立したポータルサイトを持ち、互いに接続されておらず、データは完全にサイロ化して分断されている。

無数の申請者が、重要でない書類を 1 通漏らしただけで直接却下され、公務員は毎日、給与明細を目視で手作業により照合せざるを得ない。

極めて皮肉なことに、正直な市民を門前払いするこの官僚システムは、詐欺防止の面では穴だらけだ。

米国政府説明責任局(GAO)の推計によれば、各種給付の詐欺によって米国連邦政府が毎年受ける財政損失は最大で約 5000 億ドルに達する。さらに追い打ちをかけるように、今では生成 AI を使えば、見分けがつかないほど精巧な偽の給与明細を数秒で偽造できる。

フィンテック基盤の Plaid が生まれる前は、あらゆる金融アプリがそれぞれ苦労して各行と接続しなければならなかった。Plaid が登場してからは、ユーザーはワンタップでシームレスに接続できる。公共行政の分野も、自分たちのためのこの層のインフラを切実に必要としている。

ユーザーの許諾を得た前提で、それは最も権威ある公式の情報源から検証済みの真実の収入・税務・居住記録を直接取得し、各行政審査システムへ同時に配信できる。

「一度の検証で、すべてに通用する」。これにより、本当に支援を必要とする誠実な市民がごく迅速に承認を得られるだけでなく、詐欺師が書類を偽造する余地を源から断ち切ることができる。

2027 年以降、全米の各州は 6 か月ごとに、数百万単位のメディケイド(Medicaid、医療扶助制度)加入者の資格を再検証することが義務付けられる。

そう遠くない未来、AI エージェントが行政申請と資格審査の業務を全面的に引き受けることになるが、その前提として、AI は完全に信頼でき、改ざん不可能な基盤となる真実のデータソースを持たなければならない。

この行政を貫くデータパイプラインを誰が築くにせよ、その者は現代社会のセーフティネットの中核となるデジタルインフラを実質的に握ることになる。この重要なパイプラインを作っているなら、私たちはぜひ手を携えたい。

実体インフラ大建設時代の「ウォール街」:新たな資本調達とファイナンス構造

**執筆者:**Brad Flora(YC グループ・パートナー)

ソフトウェア開発の立ち上げコストはきわめて低いが、機械設備、GPU 計算クラスタ、そしてハイパースケール・データセンターはまったく事情が異なる。

プロジェクト開始初日から、何万トンもの特殊鋼と高度なシリコンチップに対して実際の資金を支払う者がいなければならない。ところが現在の金融市場では、こうした資産に対する成熟したファイナンス手段はほぼ空白だ。

伝統的な商業銀行は融資審査において、今なお高価な高度知能ロボットを普通の農用フォークリフトのように扱って減価償却を評価している。

まさにそうした理由から、YC と協働する洞察力ある起業家たちは、新たな金融デリバティブを自ら発明し始めている。たとえば、年間 50 万ドルの安定収入を生むロボット専用の新しい与信供与や、将来の GPU 計算容量に対する専用のプットオプション契約の設計などだ。

歴史を振り返れば、偉大な物理世界の大インフラ建設、すなわち大陸横断鉄道網、全国の電力網、都市と農村に広がる現代通信インフラはいずれも、実体が立ち上がると同時に、それに匹敵する規模の金融大手を育ててきた。

私たちは、実体 AI 経済のために専用の融資機関、資産リース・プラットフォーム、資産証券化(ABS)スキーム、そしてリスクヘッジ手段を構築できる金融イノベーティブな創業者を探している。

実体機械の物理的・工業的法則に精通し、かつ資本運用の根本ロジックも理解しているなら、ぜひ深く語り合いたい。

垂直領域の基盤大規模モデル

**執筆者:**Diana Hu(YC グループ・パートナー)

Jev が業界の痛点を正確に突けるのは、取とどころのない生成テキストではなく、強い型付けの構造化された意思決定と明確な信頼確率を開発者に直接出力し、しかも細分化されたタスクごとに個別の分類器を訓練するという重い負担を完全に省いているからだと思う。

私は、製造業、エネルギー・電力、ライフサイエンスといった実体産業のために、専用の垂直基盤モデルをあつらえる先端開発チームをより多く見たい。こうしたモデルは、ゼロショット(Zero-Shot)あるいはわずかな例示のみで正確に動作できるべきだ。

この領域の評価基準はきわめて厳しい。数桁低い推論計算コストで、汎用大規模モデルと同等以上の業務精度を達成し、それによってこうしたモデルをごく低コストで全端末へシームレスに配備できるようにしなければならない。

Google が発表した TimesFM-3 は、きわめて代表的な時系列予測の事例だ。

わずか 3 億 3000 万パラメータ(330M)の小さなモデルでありながら、特定タスクのファインチューニングを一切必要とせず、1 回のフォワードパスで複数の関連時系列データを同時に完全予測できる。モデルは一度訓練するだけでよく、新たに接続する各ユーザーは自身の履歴データをコンテキストとして渡すだけで直接呼び出せる。

垂直大規模モデルの真の難しさは、高品質で、特定業界に固有であり、数学的に厳密に検証可能な報酬シグナル(Verifiable Rewards)を取得することにある。

スタートアップチームは、合法的なデータ所有権を持つだけでなく、予測精度と計算資源消費の両面で、既存の専門家モデルに対する圧倒的な競争優位を示さなければならない。

特定の垂直実体産業について十分に深い知見を持ち、その専用モデルを構築する能力があるなら、ぜひあなたのプランを聞かせてほしい。

市役所と地方政府の AI 革命

**執筆者:**Gustaf Alströmer(YC グループ・パートナー)

米国で家を建てたり店を開いたりする場合、最初のステップは所在する市政府の行政許可を取得することだ。

書き終わらない申請書類、長い施工図面の審査、煩雑な現地立ち入り検査。それには数か月、時にはそれ以上の果てしない待ち時間がかかるのが常だ。都市によっては、許可証の交付を待つ時間が、実際に家を建てる工期よりも長いことさえある。

市役所の公務員は、大量の高度に反復的な細務に完全に埋もれている。厳密な建築基準の規範集と照らし合わせて図面を条文ごとに審査し、用途とゾーニング規制を一字一句照合し、各部門の間で修正意見を何度もやり取りする。

そしてこうしたことすべてを、現代の AI モデルは独立して効率的に遂行する能力を十分に備えている。

行政審査の長い遅延はきわめて重い経済的コストをもたらす。1 か月待つごとに開発コストは一段跳ね上がり、計画中のプロジェクトが途中で頓挫してしまうことさえ多い。

考えてみてほしい。新築の建物が一棟建つたびに、将来数十年にわたって絶え間なく市に不動産税収をもたらすのだ。

私たちは大まかに経済効果を試算した。全米のすべての建築許可の審査時間を現行の 10% に短縮できれば、米国の各都市は毎年最大 160 億ドルの追加税収を得ることになる。

私たちは、AI で市役所の日常業務を強化し再構築しようとするテクノロジー企業を支援したい。切り口は建築許可から始め、その後 311 市政サービス窓口、公文書管理、営業許可証の発行、現地の安全巡視など、より広い領域へと段階的に広げていける。

全米には 1 万 9000 を超える市町村があり、その大半は今なお完全にきわめて原始的な人手のプロセスでこれらすべてを処理している。

テック投資業界には「政府機関にソフトウェアを売ってはいけない」という伝統的な信条が長く語り継がれてきた。

この信条はかつては成り立ったかもしれないが、今日では完全に時代遅れだ。YC は政府部門向けに AI ソリューションを販売する専門のスタートアップにすでに数社投資しており、その一部のチームの事業成長率は、私たちが見てきたあらゆる伝統的なエンタープライズ SaaS をほとんど上回っている。

この領域を開拓しているなら、ぜひ連絡がほしい。

AI データセンターのサプライチェーン革新:電力、冷却、系統接続

**執筆者:**Jared Friedman(YC グループ・パートナー)

全米で勢いよく展開されている AI データセンターの大拡張は、米国商業史上最大規模の単一資本支出プロジェクトだ。

その投資規模の巨大さは、かつての全米大陸横断鉄道、州間高速道路網、そしてマンハッタン計画の総和を一気に上回っている。

これほど前例のない大建設は、産業チェーン全体の上流から下流まで計り知れないビジネス機会を生み出しつつある。

そのうち一部の分野はすでに広く知られている。フロンティア計算向け GPU チップ、基礎的な電力供給、そして高度な技能を持つ専門の電気工事士への需要は、前例のないほど白熱している。

しかしスポットライトの外には、あまり知られていないものの、産業全体の進捗を完全に止めかねない隠れたボトルネックが大量に潜んでいる。

現在、大型高圧電力変圧器の納期はすでに丸 3 年に達しており、高圧・低圧配電開閉装置、高圧遮断器、先進的な液冷システム機器は市場で売り切れ状態だ。

最も上流の核心原材料にまで不足警報が鳴っている。変圧器の鉄心製造に不可欠な方向性電磁鋼板(Grain-Oriented Electrical Steel)は、現在全米で 1 工場しか生産できず、その生産能力はすでに深刻に枯渇している。

私たちは、データセンターの上流から下流までのサプライチェーン全体に力を与え、打開をもたらすスタートアップに強く投資したい。この戦いに身を投じているなら、ぜひ応募してほしい。

物理的隔離の経済圏における AI:防衛、機密、高セキュリティ環境

**執筆者:**Brad Flora(YC グループ・パートナー)

世界で最も核心的価値を持つ企業秘密や戦略データは、決してパブリッククラウドには置かれない。

国防・军工請負企業、大手商業銀行、一流の医療機関、原子力発電所は、いずれも生命線となるデータを物理的に隔離された高い壁の内側に深く閉じ込めている。最も厳格な守秘とコンプライアンスの観点から、彼らはこれらのデータをいかなる第三者の AI API にアップロードすることも決してあり得ない。

だからこそ、現実の経済には、なお兆ドル級の巨大な基幹産業が、今も AI の波の門の外で苦しみながら逡巡しているのだ。

私たちと協働する多くの創業者が繰り返し同じ壁にぶつかっている。ターゲット顧客は AI 製品の強力な機能を絶賛するが、唯一の条件として、システム全体を 100% 自社の建物内に配備し、断固としていかなる公衆ネットワークにも接続してはならないと求めるのだ。

私たちは、最先端の AI 技術を真にこの物理的隔離の高い壁の内側へ届ける能力を持つ技術の先駆者を全力で支援したい。

これには、完全にプライベート化されたローカル配備の大規模モデル、フルスタックの配備・運用ツールチェーン、権威あるセキュリティ・コンプライアンス認証体系、そして高度にカスタマイズされた特殊ハードウェア・インフラが含まれる。

この閉鎖市場向けの営業と拡大のサイクルは確かに遅く、ハードルもきわめて高い。

だがそのコインの裏側には、業界で最も潤沢な調達予算が蓄積されており、最も強固な堀を持つ偉大な企業が必ず生まれる。この高い砦を攻略しているなら、ぜひじっくり語り合いたい。

自分専用の知能を掌握する:プライベート化とオープンソース主権モデル

**執筆者:**Jon Xu(YC ビジティング・パートナー)

今日、AI を基盤に製品を構築する企業のほぼすべてが、本質的には外部から知能を「レンタル」している。

あなたのシステムは絶えず数社の最先端 AI ラボへトークンデータを送り、返ってくる生成結果を受け取り、そして毎月高額な呼び出し課金を支払っている。

これまでは、この取引は当然のように見えた。最先端のクローズドソースモデルの能力は、他のオープンソース生態系を数年リードしており、自社のプライベートデータにどれだけ力を注いでも、この世代級の能力格差を埋めることはできなかった。

しかし、時代の風向きは根本的に変わりつつある。

オープンウェイトモデルは、実務的価値の高い数多くの主要ベンチマークにおいて、最先端のクローズドソースモデルと互角に渡り合う実力をすでに備えている。

AI が企業のビジネス運営の中枢神経へと加速的に進化するにつれ、ますます多くの企業が、外部モデルのレンタルサービスへの高度な依存に対して深く警戒し始めている。

私たちは、将来ますます多くの企業が、自らの生存基盤となる中核モデルを真に「所有」することを望むと確信している。企業に蓄積されたプライベートデータで絶えずフィードバックして反復改善し、自ら自由に選んだインフラ上で自律的に運用し、そしていつモデルを更新・変更するかを決める絶対的な主導権を持つことだ。

これはとりわけ規制の厳しい業界では致命的だ。極めて厳格なデータ主権のコンプライアンス要件と、物理的に閉じたネットワーク構成の下では、外部モデルをレンタルし続ける隠れたコストは、実際の業務成果と比べて極めて割に合わないものになる。

しかし、オープンソースコミュニティから公開モデルを 1 つダウンロードすることと、企業が自律進化できる専用知能システムを真に手に入れることの間には、依然として巨大なエンジニアリングと認知の溝が横たわっている。

企業の複雑な業務ワークフローを精緻な評価基準(Evals)へと変換し、従業員の暗黙の業務経験を高品質な訓練コーパスとして蓄積し、オンライン本番環境の偶発的な障害をモデルの継続的な反復改善の養分へと変え、そして基盤モデルが更新・代替されるたびに、これらの核心的資産をシームレスに受け継いでいく。それを支援する専門の力が不可欠だ。

最も極端で複雑な汎用的な未知の難題を扱う際には、企業は依然として最先端ラボの公有計算資源をレンタルし続けることを選ぶかもしれない。しかし私たちは、大多数の企業が自らに属する垂直専用モデルを持たなければならないと深く信じている。

これらのモデルは企業自身の業務運営のメカニズムを完全にコード化し、企業自身の事業発展とともに時を経てもなお新しく、ますます比類なき専有価値を備えていく。

あらゆる業界の企業が自らの専用知能を真に掌握し所有できるよう支援しているなら、ぜひあなたの声を聞かせてほしい。

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著者:Y Combinator

本記事はPANews入駐コラムニストの見解であり、PANewsの立場を代表するものではなく、法的責任を負いません。

記事及び見解は投資助言を構成しません

画像出典:Y Combinator。権利侵害がある場合は著者へ削除をご連絡ください。

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