オリジナル|Odaily星球日报
作者|Wenser
昨夜、イーサリアム財団プロトコルサポートチームは、同チームが正式に解散したと正式発表した。これに先立ち、「EF組織改革の代表的人物の一人」と目されていたイーサリアム財団の共同エグゼクティブディレクターである王肖薇も正式に辞任した。今年に入り、イーサリアム財団からは少なくとも8名の上級メンバーが退職している。
組織と人員の変動の裏では、ETHLabsやEthereum Institutionalなどの非営利独立機関がイーサリアム財団の組織を蚕食し、機能的に代替する動きが進んでいる。また、イーサリアム財団のセキュリティチームが最近、AIエージェントによるレッドチーム演習でETHネットワークをテストし、実際の脆弱性を発見するなどの技術的進展もみられる。
ETH価格が業界から次々と厳しい問いを突きつけられる中、イーサリアム財団の前には、内部改革後のより複雑で多様化した矛盾と試練が立ちはだかっている。そしてそれに関連して、イーサリアムの指導機関は現在、分裂の変局に正面から直面している。
イーサリアム財団、衰退の時代へ:群雄割拠、人材流出とAIの変局
かねてよりイーサリアム財団(以下、EF(Etheruem Foundation))は、硬直した体制、少数による意思決定、組織としての価値、そして市場心理に影響を与える売却行動などで多くの批判を浴びてきた。イーサリアムコミュニティ内部からのEFへの批判も特に激しく、つい先日、Banklessの創設者であるDavid Hoffmanは「最後のETHポジションを手放す」とまで言ってEFへの不満を表明し、イーサリアムコミュニティに対し、独自の方法でエコシステム構築を行うよう呼びかけたほどだ。
今や、EFプロトコルサポートチームの正式解散は、雷鳴のようにEF組織内部の矛盾と分裂の危機をすべての人の前にあらわにした。注目すべきは、今回の組織変動は、昨年イーサリアムの創設者Vitalikが主導した組織変動とは大きく異なる点だ——これは徹底的な人員の大粛清であり、「EF創設以来最大規模のレイオフ」と見なされており、これまでの一部リーダー層の交代とはわけが違う。
イーサリアムエコシステムのリーダーが「トカゲの尻尾切り」を選んだとき:EF大レイオフの経緯
すべては、EFが6月23日に正式発表した「EF新アーキテクチャ」の公式発表に端を発する。
数千字に及ぶこの記事の中で、EFは新しい組織アーキテクチャをプロトコル層、アクセス層、ユーザー層、コミュニティ層、機関層に区分し、その中で「今回の組織再編により54名、EFメンバーの20%を削減した」と説明している。さらにやや冷たく感じられるのは、発表の冒頭で「このプロセスを通じて、我々はこれから直面する重要な任務を遂行するために必要な構造、活動、人員を獲得した」と述べられている点だ。つまり、レイオフされた人員や部門は淘汰され、不要で、価値がないと判断されたのである。
これまで研究組織やエコシステムのリーダーとして振る舞い、学術的な気質を備えていたEFが、組織運営における冷酷な一面を初めて露わにしたと言わざるを得ない。
EF新アーキテクチャの概要図
EFプロトコルサポート部門の解散がEF組織分裂の重要な象徴に
特筆すべきは、EFプロトコルサポート部門の業務がインフラ整備に重点を置いていた点だ。主にイーサリアムプロトコルの開発プロセスの調整を担当し、コア開発者会議の組織・調整、イーサリアムネットワークのアップグレードの追跡、EIP推進の支援、イーサリアムプロトコルの運用などを行っていた。現在、その主な機能はEFのプロトコル層部分に移管されている。
そしてEFが新アーキテクチャを発表した同日、5名の元EFリサーチャーが共同設立した非営利の研究開発ラボEthlabsが正式に発表された。この組織はイーサリアムをグローバル経済の決済層にすることを目指しており、イーサリアムの共同創設者であるJoe Lubin(Sharplink会長、Consensys創業者)、ETHトレジャリー企業BitMine(Tom Lee傘下のイーサリアムトレジャリー企業)、Sharplink、暗号資産投資会社SNZなど、一連の投資機関、イーサリアムエコシステムプロジェクト、個人、そしてEF財団メンバーの支援を受けている。
ETHLabsコミュニティ参加者リスト(出典:公式アカウント)
7月1日、EFの元メンバーであるDavid Walsh、Marius Smith、Matthew Dawsonが共同設立したEthereum Institutionalが正式に始動した。
同組織は「金融機関向けイーサリアム応用計画」をコンセプトに掲げ、イーサリアムとそのセカンダリーノード、アプリケーション、そしてエコシステム全体の制度化・機関レベルの採用を推進する。また、同組織はEthlabs、Etherealize、Enterprise Ethereum Allianceと連携し、機関のニーズ対応や銀行へのイーサリアムの価値提案の説明を担当する。一方、Ethlabsは関連するニーズを技術的製品に落とし込むことに注力する。非営利の独立機関として、Ethereum Institutionalは銀行や資産運用会社に対し、イーサリアム活用に関する無料コンサルティングを提供する。
その1週間後、Ethereum Institutionalはコアチームの採用開始を発表し、今後数週間で機関向け事業開発(Institutional GTM)、マーケティング・コミュニティ運営、ソリューションアーキテクト、テクニカルプロジェクトリードなどの技術ポジションを重点的に採用する。
こうして、EFのレイオフ騒動は、2つの非営利独立組織の登場とプロトコルサポート部門の解散によって正式に幕を閉じ、 Vitalik自らが昨年推し進めた「内部組織改革」は、不完全な終止符を打たれた。組織レベルの分裂や、エグゼクティブディレクターの王肖薇をはじめとする上級人材の流出に加え、EFはAI技術の衝撃にも直面している。
AI攻防戦の時代が幕を開け、EFセキュリティチームのテストが高度化
昨日、EFプロトコルセキュリティチームの研究者らはブログ記事で、一連のAIエージェントを展開し、イーサリアムエコシステムが依存するソフトウェアをテストし、暗号システム、プロトコルコード、スマートコントラクトの脆弱性を探索していると発表した。
AIエージェントによって発見された脆弱性には、イーサリアムのコンセンサスクライアントが使用するP2P層libp2p gossipsubにおけるリモートから引き起こし可能なパニック問題が含まれ、この問題はすでに修正され、GitHub上でCVE-2026-34219として公開されている。
研究者らによると、AIエージェントは偵察、探索、補完、検証といった専門的な役割に編成され、潜在的な攻撃経路の発見、障害の再現、本番コードへの適用可否の検証に用いられる。EF側は、AIがセキュリティ研究者に取って代わったわけではなく、仕事のやり方を変えたものであり、チームが人手によるレビューよりもはるかに広範な範囲をカバーできるようになったとしている。ただし、一見もっともらしい多数の結論に対して、研究者がより慎重に判断を下す必要があるとしている。
本日GPT 5.6モデルが正式にローンチされたというニュースを踏まえると、イーサリアムプロトコルのセキュリティ維持は、今後AIモデルとEFのセキュリティ研究者が共同で担当することになるかもしれない。また、EFは今「AIが研究者に取って代わったわけではない」と述べているものの、AIモデルの継続的な発展と進化に伴い、今後EFのセキュリティチームや組織全体の人員はさらに削減される可能性がある。言い換えれば、EFは今後、AIモデルが組織構造と自らの機能遂行に与える試練に直面することになる。
総括:EF組織改革は一区切り、今後は「エコシステムのマスコット」に?
昨年1月、我々は『Vitalikが「改革」の第一歩を踏み出す、イーサリアム財団はどこへ向かうのか?』という記事でEFの組織変革を体系的に分析した。当時、Vitalikは依然として野心満々にEFの組織改革を強力に推し進めていたが、今年5月、1年以上にわたる組織革新を経て、Vitalikは一転して「イーサリアム財団はETHエコシステムの中心になるべきではなく、小さく長期的なアプローチに転換する」と発言した。
正直なところ、ETHが既に数千億ドル規模の時価総額を持つ資産に成長した今、設立から約10年が経過したEFという公式エコシステム組織も、「大船は回頭しづらい」という厄介な状況に陥っている。Vitalikが以前、「今後は通常のブログ投稿をやめ、分散型ガバナンスをテーマにしたSF小説を書いてみることにした」と放言したのも無理はない。
元EFリサーチャーでEthlabsメンバーのAnsgar Dietrichsが今月初めにあるポッドキャストで語ったように、「5000ドルを突破できないまま5年が経過し、ETHには依然として明確な価値の物語が欠けている。」
現状を見る限り、EFが「イーサリアムエコシステムを再興し、ETH価格をブレイクスルーさせる」という大きな旗を掲げることはもはや難しく、今後の大規模採用や機関投資レベルの投資は、おそらくETHLabs、Ethereum Institutional、Etherealizeなどの組織に期待するしかないだろう。
おそらく、そう遠くない将来、「エコシステムのマスコット」の役割こそがEFにふさわしいのかもしれない。

